ナポリにナポリタンはなく、天津に天津飯はない。もちろん台湾に台湾ラーメンはないし、スイスロールもまた然り。
各国料理の日本化というのでなく、オリジナルなのにそれっぽくネーミングしときました、というセンス。そしてそれが定着する鷹揚な国民性。
… … うん、嫌いじゃないなぁ。
ダジャレにまみれたおせち料理の名づけや、親子丼のようにひとひねりしたものもある。ユーモアをさりげなく織り交ぜるこの感じ、さすが言霊のクニ。
本日はそんな中からナポリタンをいただく。
鉄板には黄色い卵焼きが広がり、さらにケチャップの赤、ピーマンの緑が加わった彩り鮮やかな一品。
この場面での鉄板は冷めにくいという実利以上に、単にワクワクするという高揚感を与えてくれます。
チーズとタバスコがついてきて、ますます本場イタリアからはかけ離れていきますが、そんなことはマンマミーア、どうでもよろし。日本にローカライズされたパスタを楽しみます。
カリフォルニアロールだって、いいじゃない。
ニンジャ、ゲイシャ、フジヤマ、いいじゃない。
D A T E 恋したっていいじゃない。
麺をくるくるとすくい取り、パクリ。野菜をモグリ。ウインナーをガブリ。
すべてケチャップ味、予想通りの味わいと、潔いほどの単色。そうそう、こうでなきゃという懐かしい昭和の味。
粉チーズをかければ朱に染まり、タバスコをかければ朱が濃くなる。まさに朱に交われば赤くなる、ケチャップの本領発揮。
鉄板で熱せられてゆく半熟卵だけが逃げ道。そのトロミと甘みのケチャップとの相性のよさは、オムライスで実証済みなり。
しばし昭和レトロを懐かしんだけど、そうか、2つ前の元号になるのか。昭和は遠くなりにけり、令和にもじきになれることでしょう。
それにつけても、全方位ケチャップはノドが乾く。水をのみつつ、味を中和する。この場合、おいしさ=味の濃さなので仕方ないけどね。
キレイに平らげたあとは、紙ナプキンで口元のケチャップを丹念にぬぐう。実においしく、楽しいおじさまランチでした。
ごちそうさまでした。