今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 152)創業ビーフカレー

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松屋のカレーが終売になる。そんなニュースのあと、限定メニューの創業ビーフカレーが定番化すると続報が出て、プチ炎上したのは昨年の暮れ。


リニューアルに伴う値上げといえばそこまでだけど、情報の出し方がよくなかった。従来の松屋カレーファンはがっかりもしただろうしネ。


私はといえば、もともと松屋カレーは年に 1度食べる程度だったので特に感慨もなかった。で、今朝はカレー腹だから、松屋に足を向ける。


創業ビーフカレーはキャンペーンのときに食べたっけ。キシキシの繊維が楽しいビーフが、カレーソースに溶け込んでいた記憶があるナ。


栄養バランスも考えてサラダセットにしよう。大好きな松屋フレンチドレッシングを二重、三重にかけまわしてベジファーストで食べてゆく。


微かにニンニクが入ってるであろう、このドレッシング。スーパーで類似品を探すも出会えず。比較的似てるのは高価格帯のドレッシングでした。


そんなありがたいドレッシングを味わいつつ、はらぺこあおむし気分でサラダを食べる。やめられない、止まらない。サラダを先に完食しちゃう。


三角食べをしないとドキドキするのは昭和育ちの悪いところ。ともあれ箸をスプーンに持ちかえて、鎮座するカレーライスにターゲットを移す。


カレーはスパイシーで、からい部類だと思う。甘い福神漬けと、固めのご飯で中和しつつ食べてゆく。みそ汁が辛味を実にやさしく包むんだよね。


カレー、カレー、みそ汁。カレー、カレー、水。淡々と、着々と、ショウマストゴーオン。朝からカレー気分ということは、体調ヨシ、だね。


すっかりきれいに食べ終えた皿を下膳すべく席を立つ。隣の紳士が納豆をかけたところでずっと新聞を読んでいるけど、みそ汁、ぬるくなるゾ。


ごちそうさまでした。

定食春秋(その 151)自家製・ブリの照り焼き

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料理をしていて、ふと思う。熱で飛ばしたアルコールは鼻から吸収されるのだろうか。フランベはもちろん、和食の煮込み工程ではどうだろう。


違法ドラッグなどは、鼻から吸引するなんていうし、アルコールを直接吸い込むルートとして成立しうるんだろうか。ブリを焼きつつ、そう思う。


まあ、調べるほどのことでもない。ぶりに焼き目がついたら、ひっくり返して火を通す。ふっくら焼けたら、タレを入れてとろとろ煮つめていく。


醤油2、みりん3、お酒4の黄金比のタレにトロミがついてくる。焦げないようにフライパンを揺すっては、木べらですくってブリにかける。


で、その間ずうっと気化する調味料を鼻から吸い込んでいるわけです。まあ、口からビール飲んでるし、もはや効果のほどはわかりかねますが。


照り焼きのタレはいつも余るので、隣のガスコンロで冷凍の牡蠣を水とお酒で蒸していく。こちらからも気化するアルコールがムンムン出てくる。


そうこうするうちに、タレはトロトロ、ブリはプリプリ、いい塩梅に焼き上がる。皿に取り分け、タレを上からかければ、酔っ払いブリの完成。


家族はオカズとして食べるわけですが、私にとっては上等の酒のアテ。ブリの照り焼きとサバの味噌煮は肴として、ひとシーズン一回は食べたい。


日本酒に切り替えて、照り焼きをむしってはパクリ。濃厚なタレとブリの弾力を楽しんだら、慌てて日本酒をチビリ。これは酔わないわけがない。


添えた牡蠣も照り焼きのタレが合うね。あっという間に食べ終えて、物足りずに炊き込みご飯をアテに、もう1合飲んだりして、ご機嫌な夜です。


結局、気化アルコール問題はググりもせず放置。なんでも白黒つけるのも面白くないネ、曖昧な日本の私でいるのもいいよネ、などと独りごちる。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 236)大ざる

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ヌーハラという言葉を知って驚いた。ヌードルハラスメント。麺類をズルズル食べる音が不愉快だから慎めという言説。なるほど、なるほど。


てっきりスポーツ新聞や雑誌を電車で広げて、ヌード写真が女性や子どもの目につくようにするハラスメントかと思いましたよ。これもダメだが。


ともあれ、欧米のマナーとして、食事のときに音を立てないというのは理解できる。文化だから。でも、日本に来てまでそんなこと言わなくても。


調べれば、猫舌の人に配慮がないとか、フェイクニュースも入り交じって混沌としてます。いやいや、ざるそばがあるデショ? あれチベタイよ?


郷に入りては郷に従え。ツユの香りが鼻に抜ける感覚ごと楽しんで欲しいけどね。すすったことがないから、できないのかもしれないけどサ。


で、大ざるを食べる。サイヤ人が満月を見ちゃったようなネーミングですが、ランチサービスで盛りもいいみたい。ウキウキと食べる。


つゆをチロリとつけてズルズル。

ワサビをつゆに溶いてズルズル。

ネギをつゆに散らしてズルズル。


結局ズルズルしてるんだけど、そんなに不快な音なんだろうか。太宰の小説じゃあるまいに、スープをスゥって飲むような文化は日本にはないヨ。


なーんて、十把一絡げに言ってもいけないけど、おいしいものはおいしくいただきましょう。最後にトロトロのそば湯割りをおいしく飲み干す。


なんでもハラスメントを付けちゃうと、ほんとに困ってる人が見過ごされないか心配。人の振り見て我が振り直せ、迷惑かけないように生きよう。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 235)証誠寺そば

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食欲はあるけど、胃がもやもやしている朝。風邪のひき始めの予感。こんなときはダシを流し込んで、内臓のご機嫌をうかがおうかな。


具を咀嚼するのもおっくうなので、かき揚げよりもサラサラいけるたぬきにしようかな。風邪対策に栄養を考えて玉子もつけちゃおう、ふふふ。


券売機をみれば、たぬきそば、月見そばと並んでたぬき玉子そばを発見。きつね玉子がないところからしても、たぬき玉子は人気があるんだな。


たぬきが月見するので個人的に証誠寺そばと読んでますが、特に広める活動をしていない。当然、人口に膾炙しない、マイソウルネームです。


シンプルな見た目ですが、濃いめのつゆなのでさぞや夜更けと思われます。アツアツなので、白身がかたまって、月に雲がかかりつつありますな。


月が出た出たァ、月が出た♩  ってこれは狸囃子ではなくて炭坑節だな。雲ではなくて煙突の煙だけど。さぞやお月さん煙たかろ、サノヨイヨイ♩


丼ぶりをもちあげ半煮えの白身をチュルンと飲み込み、揚げ玉もろともそばをかきこむ。途中で黄身を割って、そばボナーラにするのも忘れない。


弱った胃袋も、あたたかなつゆに安心したのか、もやもやが落ち着く。今日のところは七味はかけずに、やさしいきもちのままで箸を置こう。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 234)たぬきそば

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「鉄を喰え  飢えた狼よ。死んでもブタには  喰いつくな」とは尾崎豊の歌ですな。鉄分をとれではなく、ワイルドでいこうぜってことでしょうネ。


飼い慣らされてはいけない、意地張れなくなったら終わり、なんて気持ちもありますが、疲れのせいかイスのある立ち食いそばについ行きがち。


これはいかんと一念発起、立ち食い必須の店でたぬきそばをすする。春菊天なら文字通り鉄分をとれたなぁ、などとしょうもないことを思う。


マスターキートンも、夢みがちな自分を鍛え直すとか言って軍隊に入ってたな、ズルズル。自分にはできないけど、ロマンがあるよな、ゴクリ。


こちらは更科と田舎が選べますが、+10 円払って更科を選ぶ。自分としては珍しいですが、たまに食べると風味があっておいしい、気がする。


私の行動範囲では最も濃く、熱いつゆ。朝は茹でたてとなるそば。サクッとした揚げ玉。店に流れる AM ラジオ。スツールを置かないカウンター。


立ち食いそばのテンプレのようなひととき。サッと食べて、水で口をさっぱりさせ、こちそうさまト下膳する。うん、ワイルドさ満タン。


「サラリーマンにはなりたかねえ  朝夕のラッシュアワー  酒びたりの中年逹」とも尾崎は歌ったけど、そちらはご期待に添えそうもないや。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 233)朝のかき揚げそば

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ワンオペ。某牛丼店の夜勤問題で耳にするようになった最近の言葉だけど、ワンオペ育児なんて造語もできるくらい、いまや人口に膾炙している。 


さて、こちらの立ち食いそばは、朝はメニューを絞っている。お得なセットに誘導しつつ、手間のかかりそうなメニューは券売機で売り切れに。  


かき揚げか、ご飯+玉子セットのいずれかの2択が基本線。みたところワンオペで大変そうだし、人的資源を集中させる狙いがヒシヒシと伝わる。  


ところが、券売機スルーで現金払いの客、食券提出後にオレ大盛りと叫ぶ客、うどんでお願いしますとウラをかく客など、なかなかに厳しい状況。  


さらに仕入れ業者がやってきてハンコを求めたりしているから、なんかこちらがヒヤヒヤしちゃったよ。ガンバレ大将、負けるな大将。  


ともあれ、私はやってきたかき揚げそばを粛々といただく。軽めの食感のかき揚げがつゆに泳ぎ、サクサク食べては、そばをスルスルたぐる。


柚子粉をかけたの正解。風味がそこはかとなくきいてるネ。かき揚げがモロモロに崩れてゆき、適度な油分をつゆに還元して、うまさが加速する。  


ジャズが流れる店内は優雅だけど、増えるお客にひとり立ち向かう大将を思うと、繊細な味は確かなだけに、気の毒に思うのは余計なお世話かナ。  


オレも、疲れてるな。ガンバレ、オレ。  


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 232)月夜のばかしそば

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きつねそば、たぬきそば。決めかねた場合、ムジナそばを食べることになる。こちら小諸そばでは「月夜のばかしそば」がそれにあたる。


トッピングできつね or たぬきを追加する方法もあるけどさ。うずらで月、とろろで雲、青菜で草を再現している、名前負けしないひと品がいいね。


小諸そばといえば、卓上のサービスネギ。ミニトングでひとつまみ入れて、ゆず七味をかける。準備万端となったところで、箸をパキリと割る。


まずは、木さじでうずらの玉子をツルンと食べちゃう。鶏卵だと割るタイミングを悩むけど、うずらはいつの間にか食べちゃってそうで。


あとは、そばにとろろをからめてスルスルいただく。淡麗なつゆがいいねえ。たぬきはサクサクとモロモロが共存、きつねは甘〜くいい塩梅。


ふと、視界の端に違和感を覚えて目をあげると、お隣さんがネギの器をむんずとつかんで、ザクザクとネギの山をそばに築いているではないか。


いがらっぽくならないかねえ、と余計な心配をする。牛丼屋で紅生姜を入れすぎるようなもんかな、すぎたるは及ばざるが如しとも思うけど。


まあ、私も松屋のフレンチドレッシングはかけすぎちゃうし、同じ穴のムジナかもしれない。人のふり見て我がふりなおせ、ハイ、教訓でした。


そばは、いつもどおりおいしかったです。


ごちそうさまでした。

定食春秋(その 150)自家製・かに玉

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卵を一度にたくさん食べると、火垂るの墓を思い出す。あまりに悲しい話なので、もう何十年もみてないけど、滋養のつくものの象徴としての卵。


物価の優等生なんていわれますが、栄養があり、煮てよし、焼いてよし、茹でてよし。なんならわが国ならば生食も可能なマルチプレイヤー


さて、冷蔵庫には賞味期限の卵が4つ。生食前提の日付だから、火を通せばしばらくは食べられるそうですが、勢いつけて全部食べちゃおうカナ。


個人的には卵かけご飯が一番好きですが、そう何杯も食べられるものでもない。ここは秘蔵のかに缶をつかってかに玉にしよう、そうしよう。


かに玉の素とよ〜く混ぜ合わせて、かに缶をプラス。軽く焦げ目がついたら、大皿を使って裏返しに。これだけ大きいとフライ返しではムリです。


かに玉の素には、親切丁寧なことに甘酢たれもついてますね。軽く火を通してかに玉にトローリとかける。かたちは悪いけど、上出来、上出来。


とはいえ、かに玉はメーンを張るタイプじゃないな。寺島進のような名脇役、あくまで副菜。まあビールに合うなら何でもいいんだけど。


最近の調味料はうまくできてるもので、本格中華の味ですね。こうなると紹興酒が欲しくなる、なんて身勝手な欲望が。さすがに贅沢ですね。


いや〜平和な世の中で、おいしくごはんがいただけるだけでありがたいと思わないといけないね。卵をたくさん使うと、そんなことを思うのです。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 231)らあめん

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豚骨ラーメンが食べたい。それも家系ではなく、白濁した博多っぽいやつ。脳内のラーメン MAP を検索のすえ、電車を途中下車して歩を進める。


こじんまりとした店ですが普段は学生で賑わっていることでしょう。固めを頼んで待っていると「白? 黒? 全部忘れちゃった」と大将の声。


替え玉対応している間に忘れてしまったようす。それはいい、人間だもの。それより、白黒とはナンダ。さっきは確認されなかったゾ。ムムム。


動揺をみせず「白、固めで」と念を押す。結局、黒は謎のまま。マー油でも入るのかナ、キョロキョロしたけど店内にヒントは見当たらず。


大将の派手な湯切りを眺めていると、やってきましたマイラーメン。豚骨臭が今日の気分。デフォルトはネギ、玉子、メンマ、チャーシュー2枚。


なかなか豪華な彩りに、食べる前から大満足。レンゲでスープを飲めば、唇テロテロ系の粘度の高いスープ。これこれ、こういうのがいいのヨ。


卓上の辛子高菜と紅生姜は入れ放題ですね。これには九州男児もニッコリでしょう。おろしニンニクをちょっぴりスープに溶かして、箸を割る。


粉っぽく、生っぽい固めの麺は、食べてるうちにアルデンテに近づいていく。じきに高菜が白濁スープを茶色に染め、紅生姜も色を失う。


ズルズル夢中で食べれば、あっという間に丼ぶりは空っぽ。替え玉しようにも胃にスキマがなく、派手な湯切りをする店長を尻目に席を立つ。


最後に飲んだ水がトドメでお腹タプタプ。駅に戻るのも面倒だし、腹ごなしに散歩がてら歩いて帰るかね。北風小僧の寒太郎が身にしみるなあ。


ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 230)シーフードトマトソーススパゲティ

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いつからスパゲティのことをパスタというようになったのだろう。なんならスパゲッティーと呼んでたよね、このイタリア麺のことは。


調べると、イタリアの小麦粉系麺料理の総称がパスタなんだとか。つまりはスパゲティ、マカロニ、ラビオリ、ラザニア、形は違えど皆パスタ。


あれか、小麦粉界隈を粉もんと言うようなもんかな。うどん、たこ焼き、お好み焼き、みーんな粉もん。似てるけど、ちょっと違うかな。


ともあれ、こちらのシーフードスパゲティ。イタリアはわが国と緯度も近いし、海もあるし、火山もあるし、なんというか食が合う気がするよね。


そうこう考えるうちに、やってきました。パスタは待つな、なんてイタリアの格言を「旅ボン」で読んだけど、やはりアツアツはおいしいネ。


くるくる巻いてはハフハフ食べる。さすがにズルズルいくのはイカン。跳ねるしね。トマトソースがシャツについたら、なかなか落ちませんもの。


イカは歯ざわりサクサク、エビはプリプリと口の中で弾ける。あさり、ホタテが旨味を加えたその上に、季節がら牡蠣もいらっしゃる。旨し。


魚介のパスタにチーズはかけないのがイタリア流らしいけど、ついてくるものはなんでも使う。ハバネロソースも途中で振りかけて味変を楽しむ。


やはり、トマトソースは偉大だな。なんでもおいしくなる。18 世紀にアンデスから来るまで、何食べていたんだろうと訝しげなレベルだよな。


ボーノなパスタを食べ終え、最後に残ったトマトをパンにのせパクリ。水で口をサッパリさせたあと、食後のコーヒーをいただく。グラーッチェ。


ごちそうさまでした。