今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

花に嵐のたとえもあるさ さよならだけが人生だ

 

星のうどんが3/31で閉店するという。

 

コロナ禍やライバル店だけでなく、相鉄が都心に直通するようになって、横浜駅の乗降客が少なくなったのも一因だろうか。さみしい、でも致し方ない。

 

母が介護施設に入所してから、面会のために横浜方面へ行く機会が増えた。朝早くに家を出て、相鉄あたりでお腹がすいて朝食をとるパターン。

 

なかでも二俣川の相州蕎麦と横浜駅星のうどんがお気に入り。相州蕎麦のカレー南蛮は特級品だし、星のうどんは関東では珍しい博多うどんで、いずれも日々衰える母に会う前の癒しだった。

 

食事をするにつけ昔を思い出し、備忘のためにブログに書いてきた。母がなくなると文章修業のはずだったブログも、いつしか気を抜いたらチラリと湧いてくる現実からの逃避となった。

 

やがてブログを書くために食事するようになり、これでは主客転倒である。ブログ執筆は自分と向き合う場面でもあったけど、1013回も麺を喰らったし、しばらくお休みして世間と向き合ってきます。

 

最後の星のうどんは、博多名物のごぼう天うどん。やさしいダシと、たおやかなうどん、ゴリゴリのごぼう天はいつも通り。生姜や七味で味変して、こちらもいつも通り完食。おいしいと思える健康に感謝です。

 

所詮人生死ぬまでの暇つぶし。であれば、前向きなほうが絶対楽しい。そうは思えど兎角人の世は生きにくい。これからもしあわせのかたちを探しつつ、おいしいものを食べたら、たまにブログに書きます。

 

ごちそうさまでした。

麺喰らう(その 1012)にら担担麺

 

2日続けて、ランチにビリヤニ・ターリーを食べた。すると、今朝着替えていると、自分の体からかすかにスパイスの香りがする。ええっ、そういうシステムなのっ?

 

スパイスガールズならばベッカムの奥さんだけど、オッサンのスパイス臭は単なる加齢である。いやいや、カレーでしょう、なんて冗談を言う余裕すら出てこない。

 

で、本日はインドから離れようと、担担麺をすする。栄養を考えて、にらをトッピングした自分を褒めてあげたい。とはいえ、ついつい刺激の強い香辛料を求めちゃう。

 

辛さマシでラー油を多めのホットを選び、

黒コショウをたっぷりかける。卓上のコーレーグスも追加して徐々に刺激を増していく。甘いゴマペーストと好対照をえがく。

 

少し熱の入ったにらが、上澄みのゴマをまとってやたらとおいしい。キュッキュと奥歯で噛みつつ、細麺をすすれば、刺激された胃がいそいそと消化活動を始めました。

 

ふうふう、ズルズル、はふはふ、ゴクリ。けっきょく、麺類が好きなんだなぁという悟りを得つつ、ライスも頼めばよかったかな、などと不埒なことを懸想する。

 

ごちそうさまでした。

 

定食春秋(その 674)ビリヤニ・ターリー(ほうれん草入り、マトン)

 

昨日ビリヤニ・ターリーを食べたとき、後客がほうれん草入りを注文しており、ひどく気になったので、忘れないうちに食べておく。どうせなら、マトンにしてみよう。

 

ビリヤニはインドの炊き込みご飯だから、色んな種類があるのは当然である。ほうれん草というとポパイの好物であり、謎の水煮缶を食べてはパワーアップしていた。

 

露地物はかつてエグ味がきつかったけど、最近は生食できちゃうくらいだから、青臭さもないだろう。程なく到着したプレートには、緑というより黒っぽいビリヤニが。

 

食べてみるとそれほど辛みはなく、カレーやライタとの相性がよい。あえて選んだマトンは牛とも豚とも異なる繊維感で、食の禁忌が少ないので重宝されるのもわかる。

 

サラダを喰み、無糖の紅茶を飲みつつビリヤニを食べる。BGMはインド音楽かな、ビートルズの「ノルウェイの森」イントロのようなフレーズが繰り返されている。

 

店員さんが印僑ということもあり、何か不思議な空間にいる気がする。ほうれん草パワーで午後の仕事を張り切るゾ、というよりインドで人生観変わりました、に近い。

 

ごちそうさまでした。

 

定食春秋(その 673)ビリヤニ・ターリー(チキン)

 

ビリヤニはインドの炊き込みご飯である。改めてその定義をググっていると「松茸ご飯、パエリアと並ぶ世界三大炊き込みご飯である」との記載が。ええ、うそーん。

 

さすがに松茸ご飯はその並びには入らないだろうと戸惑う。まあ、世界三大という言い回し自体が「日本人の考える」という前提だろうし、気にすることはないのかな。

 

さて、本日のランチはビリヤニ・ターリー。ターリーが「大皿」の意味なので、いわばワンプレート炊き込みご飯定食か。無糖の紅茶を飲みつつ待てば、程なく到着。

 

茶色い炊き込みご飯ビリヤニ、2種のカレーを左右に従えた白いライタ、貴重なノン辛み成分のミニサラダ。以前よりカレーの量が少ない気がするのは、考えすぎかな。

 

まずは長粒米のシルエットが美しいビリヤニをば。スパイスがきいており、ドライカレーの趣き。ゴロゴロしたチキンのボリュームもバッチリで、単独でも勝負できる。

 

ベジファーストを忘れていたので、続いてサラダを食む。インドカレー屋さんならではの謎ドレッシングがさわやかですね。紅茶で舌をリセットして、いよいよカレー。

 

左のカレーはすぐ辛さがやってくるタイプで、ビリヤニにかけては食べ、かけては食べ。ピーナツの食感が楽しいな。お次はヨーグルト風味のライタでさっぱり食べる。

 

右のカレーを舐めればコク深く、あとで辛さがやってくる。口がだいぶスパイスにマヒしたところで、かた茹での玉子がやさしい。やがてカレーとライタが入り混じる。

 

この混沌こそインドカレーの醍醐味、多彩な言語が飛び交うインドっぽさでもある。ビリヤニと格闘していると、後ろの席から「ビリヤニ、ほうれん草で」と聞こえる。

 

えっ、ほうれん草入りもあるの?いつもメニュー表をみないで頼んでいるから、知らなかった。己の狭量な精神を反省しつつ、近いうちに食べようと誓うのであった。

 

ごちそうさまでした。

 

定食春秋(その 672)ワッパー in バーガーキング

 

耳慣れない単語を聞くと、知識を総動員して意味を推測するんだけど、結局は響きが似ているだけの、全く異なる言葉を想起する。ポリコレときいて、パリコレとかね。

 

その手の話は枚挙に暇がないけど、本日のディナーはワッパー。バーガーキングではハンバーガーの上位互換としてワッパーがあり、その大きさには驚くこと請け合い。

 

ワッパーと聞いても、スペルも浮かばないし、ワイパーとかラッパーなどノイズしか浮かばない。スペルアウトはWhopper、並外れて大きいもの意味する単語らしい。

 

マックだとビックマックなど縦に大きくする方向だけど、バーガーキングは直径を大きくしている。バーガー、ワッパージュニア、ワッパーとボリュームが増してゆく。

 

以前ダブルワッパーを食べたとき、気絶するくらい満腹になったので、足るを知るでノーマルワッパー。とはいえサイドメニューを3種頼み、ビールを飲む気満々です。

 

まずはナゲットとハニーマスタード。甘塩っぱいは正義ですね。ポテトらマックより太くモスより細い口当たりのよさ。ハッシュブラウンはサクサクでいい酒のアテ。

 

ひと通りつまんで、いよいよワッパー。ちょうどCDアルバムくらいの直径ということは12センチ強か。縦に大きいバーガーより、高さがないぶんかじりやすいかな。

 

大きく口を開け、エイッと食べれば口の中がおいしさで満たされるのが快感。やわらかなバンズ、香ばしく焼かれた肉汁あふれるハンバーグ、おいしくないわけがやい。

 

レタスはショリショリと軽やかで、たっぷりの玉ねぎは辛みはなくサクサク。トマトの酸味が全体をまとめあげ、この食体験はお値段以上間違いなし。ビールが捗るわ。

 

しかしアラフィフの胃の限界は、すぐにやってくる。サイドメニュー含めて8割がたはおいしくいけたけど、残る2割は頑張って押し込む。若さがうらやましい、かな。

 

ごちそうさまでした。

 

麺喰らう(その 1011)朝そば in 箱根そば

 

 

朝一番のホームの冷えた静けさが好きさ、とは渡辺美里のbelieveの歌詞である。春先なのか、初冬なのか、時期はわからないけどひとけのない駅には、よく似合う。

 

そんなおセンチな気持ちでホームを後にしたのに、改札を出たらすぐ箱根そば。情緒が壊れつつあるオジサンですが、腹が減っては戦はできぬ、まずはお腹を温めます。

 

おや、券売機が新しくなっていますね。初めから、そばorうどんが選べるようになっており、さらにカウンターに提出せずとも番号呼び出し方式が採用されている。

 

コロナ禍以降、より非接触の方向に動いていますね。まあ券売機が使いやすければ、悪いことではないけど。とりあえずお得な朝そばを待てば、すぐに番号で呼び出し。

 

朝そばは、半裁のお揚げ、さらさらの天かすが乗ったいわゆるむじなに、コキコキのワカメが加わった嬉しいメニュー。朝イチだからか、気持ちネギもフレッシュです。

 

豊富な具材の隙間からそばをひと筋持ち上げ、ズズッとすする。万人受けするやさしいツユをまとったそばは、ホッとする味です。七味をふって、スピードを上げる。

 

パウダースノーのようにツユに溶ける天かすが、そばとともに口に飛び込んでくる。油っぽさはなく、ただ旨みのみがある。お揚げはやさしくて甘いし、言うことなし。

 

ごちそうさまでした。

定食春秋(その 671)味噌かつ煮定食 featuring もち麦ごはん in やよい軒

 

豚かつの醍醐味は、豚肉自体のおいしさはもちろん、サクサクの衣、フルーティーなソース、付け合わせのキャベツなど多岐にわたり、チーム豚かつの総合力である。

 

ところが味噌かつ。衣、ソースの特長を削ぎ落とし、すべてを茶色に染め上げる。キャベツの清涼感すら必要とせず、濃厚な味噌だれ味を、口一杯にプロデュースする。

 

一般的な豚かつとは別のジャンルと割り切れば、こんなにオカズヂカラの強い頼れるアニキはいない。18歳の頃、大須矢場とんで受けた衝撃よ、フォーエバー。

 

そんなわけで、定期的に赤味噌を食べたくなり、少し並んでやよい軒へ。白米おかわり自由ですが、もち麦ごはんを選び、おかわりはしない決意とともに席につく。

 

正直、赤味噌タレがあれば、白米が限界まで食べられます。でもこちとら50代、キリがないので1膳で十分。改めて誓ううちに、鉄板風の器にて味噌かつ様の御成り。

 

まずは味噌汁で箸を湿らせ、端っこのひと切れをつまむ。ひと言でいうと甘いんだけど、赤味噌のかすかな苦味がコクとなり、ごはん泥棒の実力発揮、たまりません。

 

おいしいよりも、でらうま、というのがふさわしい。少し火の入った玉子をからめたり、七味をふったり、カリカリ、サクサクを楽しむうち、愛知の日々を思い出す。

 

書店やスーパーに行くと、有線で「燃えよドラゴンズ」が流れ、巨人ファンなのに口ずさめるくらいにまでリピートされていたっけ。1番彦野が塁に出て〜2番立浪…

 

などとイヤーワームしつつ、ごはんを遠慮がちに食べる。おかわりナシなのは、もちろんダイエットだけど、席を無人にしておかわりするのが心許ないのもあるのよね。

 

…愛知は3年半の寓居でしたが、外食し始めたころで、スガキヤきしめんなどが印象に残ってます。都内でも売ってる「つけてみそかけてみそ」を買って帰ろうかな。

 

ごちそうさまでした。でらうま。

 

定食春秋(その 670)うな牛はらみ定食

 

ご馳走の代名詞といえば、牛肉だった。牛肉オレンジ輸入自由化前、牛肉は滅多に食卓に上らず、たまのビフテキ、すき焼きは誕生日や正月などハレの日の食事だった。

 

うなぎも今でこそ養殖や輸入品が年がら年中流通しているけど、かつては土曜丑の日にイベントとして食べる食材だった。牛とうなぎのコラボなんて夢のまた夢である。

 

しかし、そんな昭和の価値観は、今は昔。リーズナブルなうなぎ屋さんの店先に「うなぎ牛はらみ」の文字をみつけ、心がざわつく。なんのお祝いの日でもないのに!

 

さすがに半世紀生きていると、これくらいの贅沢をする予算が財布に入っている。ためらう心をエイッと後ろから押して暖簾をくぐる。給料日前のオレ、ごめんよ。

 

券売機で食券を買い、カウンターに座って到着を待つ。なか卯のような琴J-POPが流れる店内は静かで、うなぎ屋さん独特の燻すような香りもなく、明鏡止水の心境。

 

やってきたのは、お吸い物、漬け物、茶碗蒸し付の思ったより豪華なセット。まずは茶碗蒸しのフタを開け、匙でサラサラとかき回してツルンと飲みこむように食べる。

 

おや、うなぎが入りですね。嬉しい誤算ににっこり。胃のウォーミングアップを終えたところで、恭しくお重のフタを外せば、うなぎよりハラミの香りがやってきます。

 

お重に添えられた塩タレをつけて食べるのかな。まずはそのまま半分かじれば、はらみならではの脂身と赤身のバランス。もう半分には塩タレをたっぷりつけて食べる。

 

当然にごはんが欲しくなる。お重の場合、具材のいた位置の下部が、担当するごはんの領域である。均質な厚みゆえ、丼ぶり飯のようにペース配分を考えなくともよい。

 

付け合わせのワサビやネギで味変しつつ、お重の下半分、はらみゾーンを進む。そろそろうなぎ様を食べるかと箸を入れれば、みっちりした身の手ごたえ、うれしいね。

 

香りの薄かったうなぎだけど、食べるとしっかり香ばしい。タレが適量なので、はらみゾーンに流れ出さず、上半分はうな重、下半分ははらみ重として別個に楽しめる。

 

それぞれオカズヂカラに溢れているので、塩分を控えるべく、漬け物はお残し。しばらくプチ贅沢に耽溺したのち、お吸い物を飲すする。仕上げの熱いお茶がおいしい。

 

ごちそうさまでした。

 

麺喰らう(その 1010)昔ながらの醤油ラーメン in 富士そば

 

関東圏の生活が長いので、「めいだい」と聞くと明治大学が浮かぶ。旧帝大の1つ名古屋大学も「めいだい」と呼ばれるけど、少なくとも関東圏では明治に軍配があがる。

 

こちら名代富士そば。「めいだい」と読まれがちだとTwitterで嘆いていたけど、看板をみるとロゴの下にNADAI FUJISOBA とのローマ字表記が付加されているようす。

 

これなら「なだい ふじそば」で間違えようがない。広報さんも安心だと思う。意味としては名前の売れた、名高いといったところで、箱根そばも名代を名乗ってます。

 

富士そばは、家の近所、散歩半径から撤退したので、都心で出会うだけとなった。攻めた季節メニューや各種ラーメンは富士そばならではであり、たまに来たくなる。

 

かつ丼もおいしいし、肉富士そばも捨てがたい。悩みつつも、やはり昔ながらの醤油ラーメンを選んでしまう。町そば屋さんで出していたような、昭和のラーメンです。

 

丼ぶりをみれば、こちらにも名代アピールが。キレイな絵柄は外国向けアピールだろうか。ともあれ、胡椒をざぶざぶかけて麺をすすれば、熱いスープがよくからむ。

 

 

さっぱりした鶏がらだしの醤油スープは、原風景のような味わい。具材もチャーシュー、メンマ、ワカメ、ナルト、ネギに固ゆでのゆで玉子。必要にして十分ですね。

 

昭和の頃土曜日は職場や学校が半ドンで、お昼は家で食べたなぁ。皆の帰宅がずれても伸びずに食べられる焼きそばが多かったけど、たまにラーメンだと嬉しかったな。

 

演歌が流れる富士そばの店内だからか、そんなノスタルジーを覚えます。平成、令和と時代が回り、人口ボリュームの多い団塊ジュニアとしては、この味は忘れません。

 

ごちそうさまでした。

 

麺喰らう(その 1009)特製白湯ラーメン

 

白湯は体によい。内臓を冷やすことなく、水分を補給できる。最近では自販機で売られるまでになったのは、緑茶以来の驚きだけど。この場合の白湯は「さゆ」である。

 

これから食べるラーメンは「ぱいたん」であり、濃厚な鶏スープに旨みが詰まっている。もちろん、朝起き抜けに飲むようなものではなく、飲みすぎると確実に太る。

 

同じ「白湯」表記ながら、微妙に異なるのが面白い。「手紙」は中国語でトイレットペーパーだし、「汽車」は自動車だとか。東野圭吾あたり叙述トリックに使わないかな。

 

大山鶏からとったスープがご自慢の白湯ラーメン。ここでは鳥取に位置する「だいせん」で、神奈川にあるのは「おおやま」である。東野圭吾あたり…もういいですね。

 

濃厚なスープをレンゲで確かめると、サラサラしながらも、白濁のうちに旨みが詰まっていて、笑みがこぼれる。ムム、生玉ねぎを発見したので、スープに沈めておく。

 

細麺はツルツルして、歯ごたえバッチリ。スープとの相性がよく、急ぐ必要もないのに、高速ですすり込む。鶏チャーシューはしっとりとして、これまたスープに合う。

 

奮発して特製なのでフィンファンネルのように屹立した海苔と、半裁のゆで玉子が嬉しい。あらかた食べ終える頃、少し煮えた玉ねぎが出てくるので、いくらか頬張る。

 

ごちそうさまでした。