今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 11)醤油ラーメン

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ラーメンっていうと、鶏がらのしょうゆスープに、黄色いちぢれ麺がただよい、メンマ、ナルト、チャーシュー、のりが並んだ、いわゆる正調支那そばが浮かんできます。屋台のおじさんがひいてるような、アレ。

もちろんそれは私の脳裏の話。当然に個人差や地域性があって、札幌なら味噌ラーメン、愛知ならスガキヤ、福岡ならトンコツがスタンダード。いずれの地域に住むにせよ、ある程度のカテゴライズができていると思います。


しかし昨今は言わずもがなのラーメン戦国時代。百花繚乱、五里霧中、奇想天外、落書無用。特徴あるラーメン店の暖簾分けといったかたちで新たなジャンルが次々生まれています。

麺好きとしては嬉しい限りですが、なんかこう、食文化の過熟というか、恐竜的進化の果てに近づいている気がしてなりません。


とか考えていると、私のアタマに住む小さい江戸っ子が怒り出します。

んなこたぁいいンだよ。ラーメンなんてこう、カウンターの下から半年前のヤングマガジンを取り出してさ、コショウをパッパと振りかけて、ズルズルすすればいいのっ!  タオルを巻いて腕組んだ店長にヘイコラしたり、自警団みたいな常連ヅラにチラ見されながら食べたって美味しくないでショ。まして、行列して何分もスープのにおいをかがされたら、どんなラーメンだって美味しさ3倍だよ、ジオンの赤い彗星だよ。無化調?  自家製麺  水の硬度?  そんなのはお店が勝手にやってりゃいいことでさ、制服の裏ボタンを見せつけるような野暮な貼り紙はしないのっ! 


まあ、わかります。結局「好き」に理屈をこねても仕方なくて、気持ちよく、おいしく食べたいだけなんですけど、人気店では所作が間違っていないか気になるんですよね。人に迷惑をかけて悪目立ちするのが何よりイヤな小市民なもんで。

で、ラーメン大。いわゆる二郎系ラーメン。ラーメン二郎は近所の支店を訪ねたものの、行列やトッピング注文の勝手がわからず、えらく緊張したので味もあまり覚えていません。ただ、ニンニクとボリュームにやられたのかタクシーで帰宅した苦い思い出が残ってます。認めたくないものだな、若さゆえの過ちというものを。

その点比較すると、ラーメン大は常連の暗牒も少なく、なんなら壁にトッピングの頼み方まで貼ってある親切仕様で安心です。昼どきには珍しく待ち客もおらず、カウンターの隅を陣取れました。

やってきたのはアルデンテでゴワゴワの太麺に、パンチのきいたスープ、頼めばどこまでもうず高く盛られる野菜、肉の繊維がおいしいチャーシュー。メニュー写真どおりなんですが、現物はやはり迫力が違います。血圧も血糖も上にメーターを振り切りますけど、よろしいですか?  という丼の暴力のような一品です。

最近は胃が小さいので特に増量は望まず、卓上のコショウ(白・黒)やカレー粉で味を変えつつ、ゆっくり完食。当然の帰結として、午後はえらく喉が渇いて、ガブガブお茶を飲みながら過ごしました。たぶん2リットルは飲みました。


いいんだよ、ラーメンに健康志向なんていらねェんだよっ、塩分上等でいっ。


ごちそうさまでした。