パンはいつからサクサクに重きをおくようになったのか。
たしかにクロワッサンとかおいしいけどさ。ああいうシャレたバンが町のパン屋さんにまで広がったのはいつ頃なんだろう。
いや、今さらシャレてもいないくらい人口に膾炙しているんだろうけど。
ともあれクロワッサンとカフェオレなんていうおフランスな習慣はわが家には来ずじまい。
それでも小さい頃、日曜日の朝はなぜだか決まってパン食でした。
トースターで焼いた8枚切りにジャムやバターを塗って、ハムエッグとともに食べる。コーヒーは苦いので、ミロを飲んでいたあの頃。
ロボット8ちゃんを観ていた、そんなサンデーモーニング。
そう、昭和生まれの魂に響くのは、やはり給食のパンたち。
マーガリンを塗られることを拒否する乾き始めた生の食パン、無理に腹を引き裂いてサラダでも詰め込まないとパサパサで仕方ないコッペパン、おいしいけどきな粉に水分をもっていかれる揚げパン。
彼らを忘れちゃいけない。
こう、民俗誌というか、文化史の話なんだろうけど。あまりに生活の変化が速すぎて、良し悪しを考える前に、次の習俗が押し寄せてくる。
銭湯とか、商店街とか、三丁目の夕日的な何かへの憧れもあるけど、不退転の勢いで時代は変化しています。
さて、能書きはここまで。きわめて昭和的な街角のパン屋さんにて、きわめて昭和的なパンを買ってくる。
目玉焼きパン、とんかつパン、焼きそばパン。
そうそう、これこれ、こんなの。かむほどに生地が固まっていき、やがてほぐれて溶けていく。主役をはれるオカズを従えた、これぞ惣菜パンの鑑。
いずれも瓶牛乳が合いそうな連中ですが、汚れっちまったオトナなので、ビールをウグウグ流し込みながらいただく。
あっという間に完食、余勢をかって2本目のビールを飲み干す。さて、シトシト雨をショパンの調べがわりに昼寝しよう。
ごちそうさまでした。