かつてハンバーガーは憧れだった。
バタ臭いドナルドやハンバーグラーなどが跋扈するマクドナルドの CM も、大きくはアメリカ的なものとして、手が届かない世界だった。
団塊ジュニアの私が生まれるすこし前、1971 年にわが国に上陸したマクドナルド。しばらくハンバーガーはハレの日の食べ物で、決して日常に降りてくることのない高嶺の花だった。だったんだよう‼︎
マクドナルドで誕生日会なんて、今では信じられないけど、いいとこの子がやるものだった。
ところが牛肉の輸入が自由化され、バブルがはじけたころ、ハンバーガーは陳腐化した。100 円だの、80 円だの、コンビニおにぎりよりも安い。いつしか金欠だから食べるものへとその地位は凋落した。
当時大学生だったので、ひたすらありがたかったのは覚えているけど、今日はマック食べたい!‼︎ から今日もマックかよ、への逆コペルニクス的転回。あれはイメージ戦略的にはどうだったのか。
やがて我々は本格派ハンバーガーを知る。 焼きたてのハンバーグをバンではさむ。それは同じなのに、材料を吟味しただけでこうも違うのか。
モス、ウェンディーズなどのプチ高級路線とも違う。ホーナーがやってきたときのような圧倒的な本物感。海南の牧とマッチアップした木暮が受けたような衝撃。
で、あらためて本格バーガーをいただく。
注文してから焼き上げるハンバーグは、とてもおいしい。ポテトもなんだこれという香ばしさ。ケチャップとマスタードがとり放題なのが泣ける。
同行の子どもも大喜び。やはりハンバーガーはハレの日の食べ物なんですよ。粗にして野だが卑ではない。上品とはかけ離れてるけど、食べるとうれしい、しかもおいしい。
でもマックを否定するわけではなくて。麺屋武蔵もおいしいけど、カップヌードルもおいしいよね、というジャンル内での棲み分けの問題。みんな違って、みんないい。
あぶらぎった手と、ソースのついた口もとを、紙ナプキンで丹念にぬぐって、コーラに残った氷をガリガリとやって余韻とサヨナラする。
ごちそうさまでした。