肉としては格上の牛も、カツになると途端におとなしくなる。なんというか、ステーキでいいじゃん、といった視線に耐えきれない感じ。
その点、トンカツは強い。衣をまとうことで、ソースや塩などの調味料をからめやすくなり、肉の歯ごたえと、脂の旨味が合わさって何とも言えないおいしさとなる。
では二番手は、となると途端に混沌とする。酒のつまみなら串カツやハムカツも優秀ですが、ご飯のおかずなら、やはりメンチカツが一枚上手かな。
紡錘状もあるけど、基本は平たいひき肉。ハンバーグと変わらないんだけどネ。
… そのものパンの衣をまといて、金色の油に降り立つべし、あっという間にメンチカツに生まれ変わります。
もったり濃いめのソースをぐるぐると丹念に回しかけ、箸で半分に割って、まずはひと口。揚げたては、ハフッ、やはりおい、ハフッ、しい。
こう、文句なしの幸せな味。ソースとカツの相性たるや、梅にウグイス、われ鍋にとじ蓋、見事というしかない。
ソースをご飯にかけて食べることはないのに、ソース味のおかずは何でこんなにご飯に合うのか、一考の価値があるな。
サラダを食べ、メンチをかじる。ハフッ。
漬け物をかじり、ご飯を食べる。
メンチをかじり、ご飯を食べる。ハフッ。
みそ汁をすすり、ご飯を食べる。
法則があるような、ないような流れで順調に平らげる。二番手なんて言ったけど、今日のアンタはナンバーワンだよ、と誰に言うともなくほめ讃えつつ完食。
グラスの水で口をサッパリさせて、サービスのコーヒーをチビリ。悔いのない昼食となりました。
ごちそうさまでした。