今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 70)カップ焼きそば

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焼いてない、茹でてもいない、ふやかした麺。それにソースをまぶして出来上がり。なのになぜ、焼きそばを名乗るのか。


ソース焼きそばの本領は、ソースの焦げた匂いにあると思うんだけど、カップ焼きそばにはそれがない。


それでもヒトの心を鷲掴みにするのはなぜなのか。チープな味に身を任せるスリルが、その理由じゃなかろうか。


カップ焼きそばはやたらお湯をつかう。そのうえ食べる前には湯切りして捨ててしまう。


それゆえ学生の頃、皆で集まったときなどは、お湯の配給順を後回しにされたっけ。懐かしい思い出。


家族が出かけたあと、密かにお湯を沸かして待つこと3分、ベコっという流しの音こそがカップ焼きそばの醍醐味です。


いつの間にやら、湯切り装置は改良されており、麺がドバドバの悲劇はもはや起こりえない。進歩とみるか、堕落とみるか。当然前者だけどネ。


しっかり湯切りして、蒸気を飛ばしたのち、液体ソースを回しかける。ソースの匂いが鼻腔をくすぐり、思わず頬がゆるむ。


かつて粉末ソースが主流だった頃は、あえて湯切りをあまくしてソースのなじみをよくしたもんだ。


たまにある味のムラ、濃い部分が好きだったな〜などと思いつつ丁寧にかき混ぜる。


さて、部屋じゅうに広がる幸せな匂いに包まれながら、スッスッと麺をすする。あたかもソースを飲んでいるような禁断の味に、ビールも進む。


ちなみに、カップ焼きそばはネーミングの由来も個性的で面白い。


ペヤング=ヤングがペアで食べて欲しい

UFO=うまい、太い、大きいの頭文字

一平ちゃん=平成で一番になるように


なるほど、一平ちゃんは今後どうするんだろう。とか思っているうちに麺はみるみるなくなる。


具材はアクセントにはなるけど、さあ味わってやろうかと気合いを入れるほどではない。それゆえ箸のスピードをゆるめる間もなく、完食に向かう。


うん、おいしかった。これほどビール力があるとは、見直したぞ、カップ焼きそば。


ただし、部屋じゅうに広がる匂いは、換気扇では心もとなく、夕方には隠密行動が家人に知られることだろう。


でも、あえてファブらないのがカップ焼きそばとの約束だ。


ごちそうさまでした。