カレーが食べたいとき、そば屋に行く場合がある。ココイチでも、印僑の店でもなく、そば屋。そう、カレー南蛮が食べたいわけですワタクシ。
こう、なんというか、トロミのついたカレー汁を飲みたい。なんならカレーの海に泳ぎたい、なんてかなわぬ夢を抱いているわけですワタクシ。
勇ましく歩みを進めてのれんをくぐり、大テーブルの一角に取りつくや否や「カレー南そば」とハッキリ注文。
カレー南蛮になるとうどん率が上がるのか、必ず確認が入るので、あらかじめ「そば」と伝えるのが小心者の生きざま。
この場合の南蛮とは長ネギのことを指すけれども、北海道の人は唐がらしを南蛮という。
さらに歴史の教科書では南蛮渡来のように、ポルトガル人、スペイン人を指す。たかが南蛮、されど南蛮、奥深いな。
そもそもにして、北狄、東夷、南蛮、西戎って中華思想からきた言葉だよネーとか思っているうちにやってきましたカレー南蛮そば。
ここで改めて浮かび上がる「カレー汁、思いがけず飛びます問題」。覚悟を決めての注文ながら、緊張は高まる。
そう、サラリーマンの大敵であるスーツへのカレー汚染を防がねばならない。そーっと距離を置いて麺を持ち上げ、手繰らずにもぐもぐ食べる。
うん、辛味もとろみも実に私好みのカレー南蛮そば。パラリとかけた七味も参画したスパイスの妙味を味わう。これって南蛮オン南蛮なんだねえ。
クタクタになったネギ、歯ごたえおいしい豚肉、風味をはかなくも主張するそば、そしてすべてをまとめるカレー汁。彦摩呂ならスパイスの東シナ海や〜とでも言うのだろうか。
ともあれ、あっという間の完食。口の中をヤケドするまでがカレー南蛮の醍醐味だナ。
しあわせな時間を過ごしたのち、丼ぶりを持ち上げ、とろみが弱った汁を飲む。ジワリ、汗ばむ。
最後に水をゴクゴク飲んで、一息つけば、心も体も爽やかさ、ぼくたち。ってひとり客だけどね。
ごちそうさまでした。