今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 77)担担麺

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かつて平成の世に激辛ブームがあって、女子高生がマイ一味を持つような風潮があった。カプサイシン効果とかで、食事で汗をかくのがよきことであった。


しかし、辛味は味覚ではなく痛覚だというのは、何度でも訴えたい。


口内だけは痛みを感じるけど、辛味は食道から始まる物静かな消化管たちにも確実に刺激を与えまくってるのだ。


でも辛味が恋しい日だってある。

中途半端な陽気でバテた体にカツを入れるべく、担担麺専門店を訪問。メニューをみると「担担麺」と「辛い担担麺」は別物。


言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい自信なのは伝わってくる。ここは辛いほうだナ。


さらにその「辛い担担麺」にもランクづけがあるようで、中辛、大辛、激辛から中辛を選ぶ。何事も過ぎたるはなお及ばざるが如しですよ。


貼り紙をみれば、ゆで卵3個、ライス2杯まで無料だとか。メタボが怖いのでライスに食指は動かないけど、ゆで卵には激しく心ひかれ、目の前に積まれたヤツに手を伸ばす。


カンカンと卓上に叩きつけ、

カラカラと殻を剥く、

パラパラと塩をふりかけ、

ムグムグと咀嚼する。


ああ、これって昭和期の遠足みたいで楽しいんだな〜ムグムグ。などと2つ目を剥きつつメインを待つ。ゆで卵を単体で味わうのは久しぶり、喉に詰まりそうなのが、サイコー。


さて、程なくやってくる担担麺。2つ目のゆで卵を静かにパイルダーオン。


わざわざ「辛い坦々麺」を名乗るだけあって中辛でも十分な刺激。ゴマの味はほんのり程度、ラー油がきいてうかつに麺をすするとむせこむ。


チャーシューは赤いスープに沈んだら目視では救出不能なので、早めにホロホロのやわらかさを堪能。


食べるたびに唇のフチが痛い。嚥下すれば胃のかたちが認識できるような辛味に、いとしさと切なさと心強さを感じつつ食べ進む。ガンバレ、俺の胃。


汗をかきかき食べていると、後客の女性は「辛い担担麺」の激辛を頼んでいる。久しぶりに初見の他人をすごいなと思う。中辛でも、相当よ、コレ。


きっとあなたも、カラダの内面から熱くなりたい何がしかのパッションがあるんですね、と勝手に共感。


汗が吹き出るのは正常な生体反応、辛味が目にしみつつ完食。この刺激には慣れないけど、たまにそうそう、これこれと驚きたい味かな。また、忘れた頃に来よう。


ごちそうさまでした。