讃岐うどんが巷間を賑わせて久しい。はなまるうどん、丸亀製麺のようなチェーン店を旗頭に、一大麺勢力となっている。
喉ごしのよいモチモチの麺を、いりこだしや生醤油でつるりと食べる。お好みで玉子や天ぷらをトッピングして、腹具合に合わせられ、なんとも理にかなってる。
香川では朝から製麺所や個人経営の店に行列ができ、客が麺をゆがくだけでは飽き足らず、畑からネギを収穫して薬味をつくるセルフ店もあるとか。
本当なのだろうか。ステレオタイプに話を盛っているんじゃないのか。さすがの名古屋人だって味噌ばかり舐めていない。
でも、大阪人はたこ焼きばかり食べてるかもしれないな。うん、じゃあホントなのかな。
ともあれ、観光立県のイメージ先行といった印象。いつかぜひ現地へ行ってフィールドワークをしてみたいものです。
さて、肝心の肉うどん。
茹で上げられたホカホカ麺に肉がのせられるひと品。腹具合と相談のすえ、大中小の中を選択。厨房の湯気にあてられ、モチモチへの期待感が止まりません。
道すがら居並ぶ天ぷらの誘惑に耐え、レジへ向かう。お肉がなければ、ちくわ天とかのせたいとこだけどネ。
レジで会計を済ませ、ネギとおろし生姜をお好みで入れる。そして壁につけられた蛇口からダシをお好みで注ぐ。なんだこれ、楽しい。
ダシはなみなみと、うどんをゆったり泳がせるほどがいいな。でも飲み干せない量も意地汚いかな。
澄んだ黄金色のダシを巡るアラフィフの小さな葛藤、ええい、ままよ! とダバダバ注ぐ。
窓に向かうカウンターを陣取り、いざ箸を割る。まずはダシ、何をおいてもダシ。うん、予想通り魚の旨味をそのまま放つダシ。
そして麺。モチモチしていて、すするというより箸で追い込むように口に入れる。麺よりも白玉に近い弾力、うどん粉の底力が感ぜられます。
肉はほろほろ、ネギは歯ざわりよく、生姜は味に深みを与えます。なんか個々の力が全体を底上げしている一杯ですね。
途中で七味をかけてみると、まあよくきくこと! それだけ回転の速い店なんだと再認識、いいね讃岐うどん。
ダシの熱、生姜の辛味と七味の刺激ですっかり汗ばみました。9割がたダシを飲みほし、おしぼりで額と口をぬぐう。
改めて讃岐へ行きたくなりました。老後の楽しみにすると、その頃にはうどん屋のハシゴができるほど、胃が大きくない気がするな。
… しあわせな悩みだネ。
ごちそうさまでした。