男子たるもの、ソースの焦げる匂いには、かけ値なしで食欲が湧いてくる。
原始の衝動を突き動かされる、条件反射のような、否応なしの魂の反応。ホントにソースって植物性由来でできてるのかね、と疑いたくなる旨味。
そいつが鉄板でジュージューいってるなんて、ご無体な。考えるだけで口じゅうに唾があふれます。
さて、ソース味の料理は数あれど、お好み焼き、たこ焼き、イカ焼きなどを抑え、やはり、焼きそばが横綱ではないでしょうか。
シチュエーションとしては祭りの屋台で買って食べるのなんてのが一番いい。
野菜はキャベツのみ、ブタ肉はたまにみつかる程度で、彩りに紅ショウガが添えられてるヤツ。
そのほか、河原でのバーベキュー、オヤツとしての焼きそばパン、夜更かししたときのペヤング。どれも素敵で、焼きそばの優秀さが窺えます。
そんな焼きそばに目玉焼きと無料のマヨネーズをトッピング。熱々の鉄板に担がれてやってきました。ひえ〜夢のようだ。
それにしてもハンバーグや中華丼なんかにのせられた目玉焼きはどうしてこうもおいしいのか。
濃いめの味つけを中和しつつ、自らの味を主張する手練れっぷり。当然、焼きそばにも合う、合う。
半熟のうちに黄身を割って、いざ食べ始める。熱い、うまい、熱い。淡白な白身もソースをまとうと俄然おいしくなるのも不思議。
ここで改めて気づくのは、焼きそばはいざ食べ始めると実は単調であること。ひたすらにソース味。
キャベツも、もやしも、ブタ肉も、すべてを上書き保存するソースの力強さたるや。
いろどりの紅ショウガがアクセントですが、基本的に香ばしく焦げたソースの勢いを借りてひたすらに箸をすすめる。茶色くニクイあんちくしょう、ひたすらに旨し。
熱さもご馳走のうち、ふうふう言いながら、途中で水を飲んで、あっという間に完食。やはり、おいしいな。でもノドが乾くな。
紙ナプキンで丹念に口元のソースをぬぐう。なんだよ、食べ終えた瞬間から、また、食べたくなるよな。
そうか、デートのあとは会う前よりなぜさみしいのって、渡辺美里が歌ってたのと似てるんだな、このソース愛。
ごちそうさまでした。