今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 89)明日葉天そば

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京王ユーザーとしては、沿線情報には敏感でありたいし、なんならフィールドワークで現地を確かめたい。そんな小市民の矜持。


さてレストラン京王は、そば部門だけでで3業態も展開している。同じ会社が同じ沿線で競合するからには何かウラがあるはずとひそかに研究対象にする。


◎たまの里:普通の蕎麦屋。やたら大きなかき揚げがおいしい。夜はボトルキープなど居酒屋としても使える。その名の通り多摩地区に展開。


◎高幡そば:いわゆる立ち食いそば。変に攻めないラインナップで安定だが、ラーメンも出す。高幡不動と明大前の2店舗のみ。


◎万葉そば:高幡そばのつつじが丘店が改装とともに業態変更。茹でたて、揚げたてを出す、嵯峨谷とか、ゆで太郎的な店。なぜか保谷にもある。開通した都道・調布保谷線で輸送してるのかな。


前二者は実食済みなのに、万葉そばにはなかなか足が向かず、えいっと思い切っての訪問。


つつじが丘は神代植物公園行きのバスがあるのでたまに行くけど、植物公園に行くなら深大寺そばが食べたいし、いつもスルーしてました。


さて、食券機の前でひとしきりメニューを眺め、他チェーンでみかけない明日葉天そばを選ぶ。


窓際のカウンターを陣取り出来上がりを待つと、順番前後します、と後客の朝そばが先に供される。


なるほど、注文が入ってから天ぷらを揚げてくれてるんだな〜と期待値が上がる。ジリジリ焦れる時間も楽しいよね、どうせこのあと大した用もないし。


厨房からはシュワシュワと天ぷらの揚がる音がきこえ、小さい頃、母親が揚げてくれた海苔の天ぷらを不意に思い出す。店で出せるようなものではないけど、とにかくおいしかった記憶が。


さあ呼び出しがかかり、いざ受け取らんわが明日葉。丼ぶりからはチリチリと音がして、揚げたて感にあふれてます。耳で食べられるごちそうですナ。


さて、肝心の明日葉天は、葉っぱ感が半端ない。草というより、木の葉の見た目。


どこからとりついたものか逡巡しつつもガブリ。おおっ、ほろ苦でおいしい。でも、アチチ。


いや、これほんとアッツイ。天ぷら鍋にキッス状態ですよ。熱さもごちそうのうちですが、なかなかどうして、カウンターの天ぷら屋さんのような熱気です。


しかし、ひとたび「思ってたより熱い」天ぷらとわかれば、対処はできます。ザクッと大きく分けて、つゆにひたしておき、そばにとりかかる。


そばはやや太めで、そば粉の香りは少々。明日葉に気圧されているので、真価はザルで食べてはじめてわかるかもしれない。ダシのきいたつゆとの相性はグー。


ふと壁を見れば新聞記事の切り抜き。なんでもこちらの明日葉は八丈島産なんだとか。急にありがたみが増してきたね、現金なもんで。


島の太陽をたくさん浴びて、摘み取っても明日にはまた生えてくるから明日葉。まさに生命力をいただいているのだ、と大仰にそばをすする。


天ぷらはまだまだ熱い。つゆで冷まそうと思ったけど、むしろ周りのつゆに熱気を与えている。


だんだんホロホロになってきた衣は、つゆを吸ってますますおいしい。途中で七味をかけて、味変しつつ完食。


先日、高幡そばで食べた明日葉ラーメンは、こちらとの共通仕入れなんだろうな、とか邪推しながらつゆを飲む。天ぷら油がしみ出して、唇テラテラ。


グラスの水で口内を冷やして、席を立つ。明日葉に会えてよかった。季節が合えばすき焼きに入れてもよさそうだ。


ごちそうさまでした。