小学生の頃だったと思う。母親からお手伝いを言い渡されて、煮干しのワタと頭をとったもんだ。
あと、カツオ節をカンナみたいな削り機で薄〜く削った覚えもある。
化学調味料を好まない母にとって、ダシをとるのは日常であり、食事のキモであったのだろうナ。
ダシをとった煮干しは取り出すんだけど、カルシウムだからと、台所の隅で母が食べていたのを思い出す。
さて、そんな郷愁の煮干し。
煮干しラーメン自体は新宿の凪や調布のたけちゃんで、幾度か食べたことのあるジャンル。当然ながら魚介ダシがきいて、おいしかった思い出が。
さてさて、こちらの煮干しラーメンは青森名物らしい。
さっぱりが基本らしいけど、ちょっと濃いめの、こく煮干しを選択。まだまだ上のランクはあるようだけど、初見だしね。
程なくやってきたのは、香り高い一杯。何というか、思い出のなかの煮干しは昭和感にあふれ、ともすると貧乏くさかった。
でも、こちらはまったく異なる地位に登りつめた印象。いつコペルニクス的転回が起こったんだろうネ。
まずはスープをひと口。当たり前だけど煮干しのクセが強い。千鳥もビックリだ。
なんというか、コクなのかな。香ばしさもあるけど、ワタをとり忘れたような苦しょっぱさもある。
貧困な語彙で表現するならば、ただひとこと、おいしい。太麺がよくからみ、コキコキのメンマ、肉感しっかりのチャーシューもよく合う。
途中で一味をかけると、また趣きが変わって楽しい。スープの深海までたどり着いても煮干し、津軽海峡を味わうような(嘘)煮干し。
あとでノドが乾くのを承知で、スイスイとレンゲでスープを口に運ぶ。ラーメン屋に来たときくらいは、塩分上等じゃい。
とか言って、グラスの水をおかわりして、きもーち希釈してみる高血圧オトコ。
ごちそうさまでした。