ねぎとろというと、葱とマグロのトロだからだろう? なんて思ってました。たぶん、大学生くらいまで。
そもそも、トロの味もロクに知らなかったし。
実のところは、マグロの骨から赤身をスプーンなどで「ねぎ取る」からネギトロなんだとか。ホントかね、ねぎ取るなんて動詞聞いたことないゾ。
まあ、Wiki を見ても諸説あるし、目の前の間違いのないごちそうに集中しよう、そうしよう。
唐揚げ類と異なり、ねぎとろ丼は提供までが早いこと、早いこと。頼むや否やご飯がよそわれ、ものの1分でやってきました、ピンクの愛い奴。
艶やかなマグロと剛健なネギの対比、紅白のそれは日本人の様式美に訴えかけますよね。
赤勝て、白勝て、いやこの場合、白はあくまで脇役だから勝利はしないだろうけど。
さてさて、まずはたっぷりのワサビを小皿に取り出し、醤油を注ぎ、よく撹拌する。
長いこと美味しんぼによる「ワサビは溶かずに刺身にのせる」教にしばられていました。でも、そんな上等な舌を持つわけでなし、ワサビ醤油でいいじゃない。
マグロに醤油を回しかけ、さらにネギとも混ぜこむ。うん、これぞネギトロって感じになった。せっかく早くきたのに、食べ始めまでの支度に手間取ったワイ。
さて、味噌汁をひと啜り。相変わらず、ダシのきいた沁み入る味。これと銀シャリだけでもいいナ。
いや、オカズがあるに越したことはないけど。
さて、大葉をパクリとやっつけたのち、メインのねぎとろ丼に取りかかる。
エアリーでとろけるように甘い赤身、ワサビ醤油のアクセント、ネギのシャキシャキ感が奇跡の三位一体。
ご飯がススムのは必然にして、当然。ご飯の残量を気にしつつ、口の中に常にねぎとろ在中となるよう、バランス重視を心がける。
途中、小鉢や漬物で、ご飯を先行して食べていくと、やがてねぎとろ比が高くなる嬉しい情勢に。
くうう、たまらんよ、おいしいよ、小さな幸せだよ。カウンターの狭さが気にならない、小宇宙が広がってるよ。
さて、興奮冷めやらぬうちに、丼ぶりはカラに。残った味噌汁を大事に飲みほして箸を置く。山口百恵がマイクを置いたように、王貞治がバットを置いたように、箸を置く。
ごちそうさまでした。