ジャンクフードの定義はともあれ、たまに、ジャンクにまみれたいことがある。
マック、ケンタ、ポテチ。若いころは、これにコーラでもあれば1日過ごせたもんだとしみじみ。
胃が小さくなったし、油に弱くなった。財布に小金が入っていても、老化には抗えない。
しかし今日は一念発起。ジャンクフード界の大物、二郎系ラーメンに手を染める。炭水化物と脂が俺を呼んでいるのさ、たとえ幻聴だろうと、それに応えるのが漢(オトコ)。
開店早々の店内にはすでに先客が。同年代のオジさんに勝手にシンパシーを覚えつつ、食券を提出する。旨辛ラーメン。いい響きじゃあないか。
さて、ほどなく先客がトッピングをきかれている。この店の盛りの "相場" を確かめようとチラ見。店ごとの個性がでる部分だしね。
先客の脂多めを見れば、八甲田山の雪のごとく脂が積もり、麺が見えない。同じく野菜多めを見れば、神奈川沖浪裏の富士山のごとく急峻に野菜が盛られている。
いずれも親の仇といった表現がふさわしく、さすがのジャンク腹でも不可能と悟る。
やがて来る、私への問いかけ。トッピングは〜? 優しい大将の声にひと言返す。ニンニク、お願いします。
そう、量ではなく、質的なジャンク感に方向転換。このあと誰にも会わないし、いいや。
やってきた旨辛ラーメンのスープは赤く、期待が通常の3倍は高まる。紙エプロンどうぞ〜、と再び大将の優しい声。そうね、跳ねたらアカンやつだね。
旨辛スープをまずはひと口。おお、辛い。でも突き刺すような辛さではなく、濃いめのスープを引き立てる程度。スープの旨味がわかりやすい。
普通盛りでもなかなかの野菜は、もやし9、キャベツ1といったところか。旨辛スープにまぶしながらもりもり食べ進める。
すると太ちぢれ麺がコンニチワ、と顔を出す。ゴワゴワの麺を啜るというより、箸で送り込むように口に送り込む。ハミハミよく噛むと、モチモチしておいしい。
途中で黒コショウや白コショウをガリガリ削り出してアクセントを加え、ガシガシ食べてゆく。どうしてもジャンクなものを食べてると、擬音が多くなるネ。
旨辛の看板には偽りなく、チャーシューは溶けるようなやわらかさ。厨房の熱気と辛みで汗がジワリジワリとわいてくる。思わず、シャツの袖を腕まくりして、幸せな闘いを続ける。
すっかり食べ終えたあとは、レンゲで 2、3 口スープを飲む。ふと紙エプロンをみれば、きっちりシミが。大将、ありがとう。ヨメさんに怒られなくてすむよ。
しばらくは、ジャンク欲もおさまりそうな、大満足の一杯でした。
ごちそうさまでした。