豚汁、一本槍。
潔いといえばそうだし、選択と集中といえばそうだろう。選択の余地は、大盛りか否か。あるいはノリや卵を追加するか。
腹具合とも相談のうえ、普通盛りを頼むと、ワンオペの店長が手際よく準備を始める。
カウンターなので、調理、下膳、レジ、持ち帰り対応などテキパキした動きがよく見える。
あ、アレが自分のぶんだなとわかると、にわかに愛おしくなり、優しめの視線で配膳を待つ。
豚汁ってあまり外食しないナ。たまに牛丼屋で食べるくらいかナ。ふふふ、期待が上がる。
やってきたのは小鉢を従えた重厚な豚汁定食。丼ぶり飯の盛りもなかなかで、普通にしといてよかったとしみじみ思う。
大食い対決みたいなランチはつらいからな〜。
さて、ここで卓上の地卵を頂戴して、パカリと割り入れ醤油を少し入れる。豚汁があるので、今日ばかりは卵かけご飯も脇役、薄味で十分なのだ。
丼ぶりにタプタプの豚汁は、魚のダシがしっかりきいて、ご飯のオカズになるためか、やや濃いめの味付け。
箸で探れば、ホクホクのじゃがいも、味しみしみの大根、やわらかな人参と根菜天国。底には豆腐が半丁ほど鎮座しており、食べでがある。
肝心のおブタさまは、量は控えめだけどしっかりした噛みごたえで存在感を発揮。しばらくは、白ご飯と豚汁の合わせ技を楽しむ。
無論、小鉢軍団も個性を存分に主張する。
漬物はパリパリ、ご飯をかきこむ。
シウマイはムニムニ、ご飯をかきこむ。
ウインナーと青菜はカレー味! ご飯をかきこむ。
いやー、米とオカズと私がいれば、世界は平和だなぁ。などと呑気なランチタイムも、お腹が徐々にいっぱいになる。
ここで豚汁には七味、ご飯には卵をかけて最後のひと勝負。具、コメ、ダシ、具具、コメコメ、ダシ。
なんだかリズムもついてきて、満腹中枢がギブアップする前に完食。
ふう、食が細くなったもんだ。あるいは、早食いがよくないのかもな。とりあえず、午後のお勤めの前に、胃薬だ。
ごちそうさまでした。