仲秋の 名月の朝 月見そば。
… ああ、月見そばって、あれでしょ、玉子入りのヤツ。おいしいよね〜。でも玉子を割るタイミングに悩まない? 難しくってサ、ツユが濁るもんで。
それに玉子だけだとお腹すくから、ついつい天たまそばにしちゃう。かき揚げに黄身をからめるとおいしいんだナ、これが。
な〜んてイメージ。立ち食い界隈ならば、正解。というより私の体感。
しかし、月見そばは実のところ、
(1)黄身を月、
(2)白身を雲、
(3)海苔を叢雲(むらくも)、
に見立てたものらしい。
見立ての美学、いかにも日本人っぽい感性ですな。
いやいや、そんなこたぁいいんだよ。玉子はトッピングの1つ、なんなら温泉玉子でもいいんじゃないっすか。
との立ち食い界隈の主張もまたわかります、むしろそちら派ですが、風雅とか風流には弱いのもまた人情。
で、連日の小諸そば。
こちらは「月夜のばかしそば」という小粋なムジナそばがあることでも(私のなかで)定評がありますが、なんてことのない月見そばもまたお作法どおり。
まぁるく浮かぶ月には、うっすら白い雲がかかり、あたりには叢雲もみられる。うん、こいつはイイね。
七味をぱらり、まずは白い雲とともにそばをすする。とろとろになっていておいしい。ツユも安定のクオリティ、ほんのり甘い。
おっと、サービスのネギを入れ忘れてた。ホウレンソウとともに何に見立てたものかはともあれ、わずかな野菜も見逃さない中年マインド。
おっと黄身がだいぶ温まってきましたね、イイ半熟具合です。
ツン、とつついてトロトロの黄身をそばに絡め、ツユに浮かぶ月のカケラは匙ですくう。
海苔はひと口にパクリ、そばをズルリ。何というか、玉子そばではない、月見を堪能しているのだという気分。というか、自己暗示。
ともあれおいしい食事はあっという間に終了。咀嚼する具があまりないので、自らの早さに恐怖すしますね、大いに反省。
ごちそうさまでした。