きもち季節はずれのすき焼き。
なんの考えもないんだけど、ちょっといい和牛をもらったので、ここはすき焼きでしょうと自分会議が満場一致。
そもそも、牛肉のおいしい食べ方を考えるに、砂糖醤油でグツグツ煮込むのが正解なのかどうか。
しかし、これまたもらい物の日本酒もあるので、自分会議は満場一致。
まずは牛脂をひいて、肉を軽く焼く。
関西風だとここに砂糖やしょう油をかけたりするけど、私のレパートリーでは、割り下で煮込むほかない。
豆腐だの、白菜の茎だの、火が通りにくいものとともにしばらくクツクツいわせたら、炭水化物要員として、ちくわぶを煮込む。
ちくわぶというと、おでんでクタクタに煮えたのがおいしいけど、実はすき焼きのタレのほうが合うのではないか、という中年の主張。
いやいや、ワテ、ちくわぶって知りまへん。なんて関西の方もいらっしゃると思いますが、ここはひとつお目こぼしを。
えーっと、ちくわの形をした、粉オンリーの練り物です、以上。
おおかた煮えたところで、春菊を少し、お高いのでほんの少し。
カサ増しでホウレンソウも少し。苦みばしってるし、方向性は間違ってないだろう、きっと。
あとはチメタイ卵をよくかきまぜる。
濃いめの味を調味するだけでなく、アツアツを食べやすくするのも卵の大事な仕事だ。野郎ども、かかれ。
などという間にすき焼きの完成。せっかくのいい和牛を台無しにするくらい煮込みましたが、いい肉はそれくらいではへこたれない。溶けるような食感で、家族の口に吸い込まれていきました。
春菊の苦味は日本酒にピタリ。牛が能登牛で、酒が加賀鳶。石川県総出の闘いですな。
ちくわぶも、味のしみたところを二チャリ。いい擬音ではありませんが、真実に近い表現です。でも味は確かで、これまた日本酒にピタリ。
あっという間に肉のお代わりも終了、けっきょくシメに再び炭水化物要員のうどんを煮込む。あらおいしいネ。
すき焼きの弱点は、酒が進むことと、喉が乾くこと。前後不覚になりつつも、風呂に入って、水をがぶ飲み、早々に床に就く。
おやすみなさい、の前に、ごちそうさまでした。