「味気ない」という言葉があるように、どうせ食事をとるならば、おいしい、心地よい刺激を貰いたい。
ところが甘味、苦味、酸味、塩味、なんなら旨味。これに食感や匂い、なんなら雰囲気が絡んできて、おいしいというのは多様性に富んでます。
ただし、味わいに対しては、濃くも薄くも徐々に慣れていくとか。オジサンとして大事なのは減塩に向かって頑張りましょうの精神です。
でも、たまに欲しい大いなる刺激、ラーメン。塩分のファンタジスタ。健康志向の天敵にして、日本人の国民食のひとつ。
まあ、ほら、スープ飲まなきゃいいんでしょ? カラダが本能的に求めてるんだよ、ラーメンを。いくら健康でも、ストレスためちゃいけないよ。
自分に言い訳、最後の言い訳。いや、たぶん最後にはならないけど、もう食券押しちゃったしナ。希釈用にグラスの水を多めに入れとくかナ。
カウンター席の端っこで、ラーメンづくりをみるともなしに丼ぶりを待つ。コトコト、スープが煮えていて、暑いくらいです。
さて、時が満ちて、トッピングを聞かれます。ニンニク、味濃いめなど誘惑に耐えつつ、脂ならば塩分はなかろうとアブラ多めを頼む。
丼ぶりを押し戴いていると、紙エプロン着用を勧められる。そういえばそうだった。店員さんの相変わらずの気遣いに感謝しつつ、きっちり装着。
うん、すごいな背脂。さながら白い恋人だな。レンゲでひと口食べてみると、ちょっと甘い気がする。でもすごいな、完飲したらアカンやつや。
さて、脂を堪能したあとは、うずたかい野菜をモリモリ食べる。ワシワシ食べても、減らないのが頼もしいけど、水面下で麺が刻一刻とのびているのが気にかかる。
強制ベジファーストののち、わずかに除いた水面から麺をすする。正確にいうとゴワゴワの麺を口に運んではもぐもぐする。
脂身、辛み、塩っ気の三位一体が心地よいけど、明らかに健康をめざす中年の食べ物ではないな。しかし、胃と心は抜群に満たされます。
おおかた食べ終えて、ふと紙エプロンをみれば、そこそこはねてるナ。勧められたとおり、エプロンつけててよかったレベル。助かった。
スープのみとなった丼ぶりに、未練たらしくレンゲを入れて何度か飲んでいると、スープのざらつきがよくわかる。これは脂身、おそるべし。
当初の誓いも虚しく、塩分を過剰摂取いたしました。喉が渇く予感がする、というか確実に渇くこめ、グラスの水を飲み干して席を立つ。
ごちそうさまでした。