博多ラーメンというと、トンコツがデフォルトなわけで、わざわざトンコツラーメンとは名乗らない。
何というか、おいしい刺し身を食べて「これ、魚ですか」と当たり前のことを確認しないでしょう? といった感覚。
関東の人間からすれば、九州のラーメンは全部トンコツなんて十把一絡げにするけど、各県、あるいは県内でもかなり違うものらしい。
博多の人に聞くと、二郎系にはなじまない、高菜が無料じゃないなんてありえない、久留米ラーメンとは一緒にするな、など主張はあるようで。
まあ、博多の人とか言いつつ、実際にどんたくに参加するような立場ではなく、福岡市の端っこなんですけどね。まあ、細けぇこたぁいいんです。
ともあれ、こちらの基本メニューは「らぁめん」なわけで。えっ、まさかうちの店に来といて、トンコツ以外は選ばないよね? といった雰囲気。
そりゃそうです。ラーメン戦国時代の東京ですから、選ぼうと思えば各ジャンルが揃ってます。あえてトンコツが食べたくてこちらに来たわけで。
さて、前口上はともあれ、細麺の博多ラーメンは出るのも早いですね。卓上から、高菜、ゴマ、紅ショウガを手早く盛り付けて、箸を割ります。
そう、細麺はのびるのも早いわけですナ。
鶏と豚からとったという臭みのないスープはサラリとしておいしい。それをまとう細麺もつるつるおいしく、ペロリと食べ終えてしまう。
そう、博多ラーメンは替え玉前提のようなボリューム感ですから、成人男性としては、気持ち足りないんですよね〜。
でも、あえて替え玉しない勇気。嫌われる勇気は持てなかったけど、ここは替え玉しない勇気。塩分、脂分、カロリー、すべてを我慢する英断。
名残惜しくも、レンゲでふた口スープを飲んで、グッとこらえて席を立つ。この誰にも知られない小さな勇気が未来の健康に役立つのさ。たぶん。
ごちそうさまでした。