胃腸が不調である。
音だけ聴いてると「あぁ、五輪逃したよねー」ってなるけど、それは伊調が不調。いやむしろあれは世代交代だろうと思う、ってなんの話だ。
ともあれ、最近ピリッとしない内臓に喝を入れるべく少し離れたそば屋に向かう。カレーは刺激物だけどさ、スパイスは漢方の一種なわけでさ。
こちらのカレー南蛮はピリ辛、トロトロ具合が実に好みに合うので、貴重なランチタイムの半分をわざわざ移動時間に充てる価値があるんだよネ。
やってきた丼ぶりをゆっくり持ち上げまずはひと口。うん、スパイシー。どことなくウスターソースっぽさもあり小ライスを頼むかいつも悩む。
そば屋のカレーは個性がいろいろで、カレーライスはこってりおいしいのに、南蛮にすると薄くてイマイチなんて店もあったりする。
シャツへのハネが怖いけど、何するものぞ! なーんて、勇しくはなれず、ズゾゾッといきたいところを、スサスサと静かに口中に運ぶ。
カレー汁の味が強すぎて、新そばの風味はわからないけど、豚肉の旨みや味のしみたネギに天国へと誘われる。地上の楽園は千円もしないのかよ。
熱い、暑い。それでも、不調だった胃腸も大いに喜んでいるだろう。今なら胃の形がくっきりわかる。そんな刺激に、ご満悦、大満足です。
終幕に近づくにつれ、トロミはなくなってゆく。あまりにも儚い、しかしこれも風情。未練たらしく、丼ぶりを持ち上げてはカレー汁をゴクリ。
店を出れば、冷たい風が気持ちいい。ひたいの汗をぬぐって、いざ夢路へと帰らん。いやもとい、現実そのもののオフィスへと歩き出そう。
ごちそうさまでした。