今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 188)とんこくラーメン

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何を食べようかノープランのランチタイム。「江戸だし、醤油とんこつ」なーんて看板をみかけて、そうだ、ここでもいいナとのれんをくぐる。


見覚えのあるフレーズ。学生の頃よく食べていた店とつながりがあるのは間違いないだろう。前に食べたときはググるのはヤボと調べなかった。


今回調べたけれども、やはりヒントは出てこない。令和の時代はなんでも web に記録が残るだろうが、平成初期はもはや記憶だけが頼りか。


なんとなく、宮本常一の「忘れられた日本人」みたいな感じがするな。大資本でない、街の料理人たちの風景があっという間に消えつつあるネ。


ともあれ看板メニューのとんこくラーメンを注文。チェーンなのか、のれん分けなのか、気になるけど、大将に聞くようなことではない。


お客がひと回りしたようすで、大将は私のぶんの麺を鍋に入れると、カウンターに下げられた丼ぶりを片づけ始める。ワンオペおつかれさまです。


その間私はセルフの水をくみ、えらく高い位置にあるテレビのワイドショーを見つつ到着を待つ。ほのかなとんこつ臭に焦らされるオレの胃袋。


さて久しぶりのとんこくラーメン。スープは臭みと旨みのやや旨み寄り。絶妙なバランスは安心、安定の味。ランチなのでニンニクはガマンだな。


浅草開化楼による中太ちぢれ麺。トッピングはもやし、わかめ、ねぎ、メンマ、ノリ、チャーシューといった古豪かつ重鎮が居並ぶ。


ズルズル食べれば、スープがよく絡みおいしい。家系ともちょっと違う、私のラーメン好きの原点となった、懐かしくもうれしい味は健在。


ノリで麺を巻くと磯の香りがぷぅんと強烈に感じられる。スープにうっすら油膜が張ってるので、いつまでもアチアチなのが頼もしいナ。


幼気なハタチそこそこの時分に、夜食としてのラーメンに目覚めてしまい、そこからデブまっしぐら、血圧赤丸急上昇となったんだよな〜。


まあ、後悔先に立たず、また後を絶たず。ステキな出逢いでそれなりの楽しみもあったしね。未練、成長、諦念。いろんな想いでスープを残す。


ゴクゴクと水を飲み干し、丼ぶりをカウンターにのせる。お釣りのないように小銭を大将に渡して、とんこくとの再会を誓って店を出る。


ごちそうさまでした。