今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 126)新さんま塩焼き定食

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魚介が食べたくて、ランチタイムのカウンターに座る。黒板を見て、マグロ丼やカキフライに心揺さぶられるも、「新」さんまを選ぶ。


冷凍ではないと言いたいんだろうな〜。さすがに七輪で焼いてはいないけど、長いさんまが半裁されることなく皿に盛られてくるのは嬉しい。


スラリとしたスタイルやよし。例えるならさんま界の菜々緒かな。あまりモデル界隈に詳しくないから例えが貧困だナ。ともあれ、見目麗しい。


まずは佐藤春夫にならい柑橘を絞る。ジュジュと焼き目に滲み入るのを眺めつつ、みそ汁をズルリ。おっしじみ汁だ。しみじみしみるなあ。


横たわるサンマを前に、背側/腹側、骨上/骨下の4区画を仮想して臨む。ふむ、どこから攻めたものか悩ましいわい。


まずは骨上/背側の半身をそのまま、パクリ。適度な塩っ気と脂身の旨さに大満足なり。慌ててご飯をかきこんで、次の攻め所を探る。


お次は骨上/腹側の半身をおろし醤油でパクリ。サッパリとした滋味が口にあふれる。ワタはあとのお楽しみにして、ご飯をかきこむ。


ここで、しじみ汁をゴクリ。キンピラをパクリ。中休みを入れつつ、後半戦の戦略を練る。ずいぶん熱心な食いしん坊だな、オレ。


さて、骨下/背側を醤油なしのおろしでアッサリいただく。骨越しに身をほぐしては、チマチマとしかし誠実に食べていく。


起承転結、最後は骨下/腹側。身をワタと小骨もろとも口に入れる。よく噛まないと、喉に刺さっては楽しい食事が台なしだ。よく噛め、オレ。


うーん、デリシャス。佐藤春夫はさんま苦いか、塩っぱいか、と書いてますが、この苦味こそが旨味ですナ。この味がわかるなら老化も悪くない。


ガシガシ小骨を砕いていると「さんま、おわりです〜」との店員さんの声が。むう、食べられて幸運なような、皆にこの幸せを分けたいような。


ともあれ、お椀の底のしじみをつついて、小骨が刺さった緊急用に備えていたご飯をパクリと食べる。うん、美しい食事仕舞いとなりました。


ごちそうさまでした。