「はぜ天」といってもなじみがないけど、江戸前天ぷらのスターときけば急にありがたく感じる。現金なものですが、ものの道理です。
さて、初のはぜ天だけでは心許なく、玉子もトッピング。ダブル蛋白質で栄養バッチリ。仕上がりは、見目麗しき一杯となりました。
まずは、アチアチのダシでほんのり温まった白身をちゅるんと飲む。何度でも言いますが、こうするとダシが濁らず、玉子もムダがないのです。
七味をふってそばをズルズル。うん、安定のクオリティに安心しますナ。いくらトッピングに凝ろうと、肝心のそばの味がぼやけちゃいけねえや。
では、お待ちかねのはぜ天をパクリ。外はツユを吸ってしっとり、内側はまだサックリ。きすに近い淡麗な白身がおいしくて尻尾までいただく。
剥がれ落ちたコロモが自然な天かすとなり、主役のそばもツルツルおいしい。寒いとツユがしみるよねえ。七味で胃から温まってきましたヨ。
ここで忘れてはいけない黄身。半熟になったあたりで箸でつついてご開帳。そばに絡めてそばボナーラにして、一気呵成にすする。あーシアワセ。
本来、江戸前は東京湾で獲れる魚介のみを指すのだとか。サーモンやイクラなんてのは、遠く北の海だから江戸前ではないんですねぇ。
そう思えば、はぜ天はお高くはない。でも歴史と伝統ある特別なご褒美として、またそのうち食べますかね。私の普段遣いはたぬきがお似合いだ。
ごちそうさまでした。