今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 139)自家製・なんちゃってエビフライ

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えんびフライ。エビフライを食べるときについ思い出すフレーズ。国語の教科書に載っていたなぁと思って調べると三浦哲郎の「盆土産」らしい。


改めて読めば、祖母、姉、自分で暮らす家に出稼ぎの父がお盆に買ってきたエビフライにまつわるお話。当時は生もののお土産が珍しかったろう。


エビフライとうまく言えずに、えんびフライと言ってしまう自分。仏壇にえんびフライを食べたと報告する祖母。そんな悲喜こもごもなお話し。


閑話休題、エビフライ。トースターでできる簡単レシピを見つけて家人に伝えると、結構メジャーな手法らしく、試したくてウズウズする。


で、ようやく迎えた週末。15 尾ほどのエビを買い込みいざクッキング。まずはヨウジでちまちまと背ワタをとる。意外と面倒だな、コレは。


そして1つひとつ殻を剥く。これまた面倒だな。さらに真っ直ぐになるよう、腹側に切り目を入れていく。はっきりと面倒だな、下ごしらえ。


ともあれ、背が曲がっていることで長寿の願いとしておせちに加わったエビなのに、エビフライでは真っ直ぐなことが要求されるんだよナ。


そういえば、うちの実家のエビフライは丸まってたナ。なんでも火を通さないと気がすまない母は小エビをこんがり揚げていたっけ。


郷愁はさておき、ここではエビの背を真っ直ぐに伸ばしつつ、マヨネーズを塗りたくり、パン粉をしっかりとまぶして、トースターで焼く。


レシピによって違いはあれど、5、6分といったところが相場。トースターの中をチラチラ確認しながら、エビが赤くなるまで焼きつける。


第一陣は真っ直ぐ焼けたけど、二の槍はやや丸まったナ。味には大差なかろうとひとつパクリ、マヨネーズがきいていてソースなしでいけるね。


さて、千切りキャベツを添えてできあがり。フライというより、エビのパン粉焼きだけど、エビの味がしっかりわかって、家族にも好評でした。


えんびフライ。冒頭の小説は切なさもあるなかでの思い出ですが、この味もわが家の思い出になって欲しいな、贅沢な世のなかに贅沢言うけどサ。


ごちそうさまでした。