前を通り過ぎるだけで、入ったことのない立ち食いそば店がある。あまりに改札に近いので、意識もオナカも食事モードに切り替わらないのだ。
しかし、人間変化を恐れてはならない、って『チーズはどこへ消えた?』にも書いてあった気がする。万物は流転する。思い切って暖簾をくぐる。
カウンターだけの手狭な店内に券売機が2台。はじめての店だから定点観測としてのたぬきそばにしよう。カウンターの隙間から食券を提出する。
すると、「アタタカイノ?」と店員さんの確認。マスクでわかりにくいけど、外国の方ですね。温かいの、と復唱してグラスにセルフで水を注ぐ。
そばは茹で置きで丼ぶりにセットされており、ツユを回しかけ、ネギを散らし、揚げ玉をふりかける。一連の動作には無駄がなく、熟練を感じる。
ザ・立ち食いといったそばとダシ。揚げ玉がまるで背脂チャッチャのラーメンみたいだとほくそ笑む。七味をかけ、ズルズル一気に食べ終える。
余りに駅に近いので見逃していたけど、激戦区で続けていられるのには理由があるネ。利便性と無駄のない所作、無難な味つけもそうだろう。
水を飲んでいる間にも客足は途絶えず、ネギ多めで〜と常連も現れる。外国人の店員さんも手慣れたように、ネギをトングで2回入れている。
コンビニといい、飲食店といい、外国人の店員さんも多いけど、適応力には頭が下がる。日本がいい思い出であって欲しいな、と心から願う。
ごちそうさまでした。