今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 252)いか天そば+玉子

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自分を変える。なんて大それた話ではなく、いつもの店で、いつもと違うそばを頼む。浮気心なのかなぁ。まあ、気まぐれにすぎないけどサ。


たぬきか春菊天が普段の選択肢だけど、ブログをみても、実感としてもあまりに頻繁に食しており、ひょっとして惰性ではないかと自分を疑う。


知らぬ間に築いてた自分らしさの檻のなかでもがく、と歌ったのはミスチルだけどまさにそんな心境。死んでるみたいに生きてはならぬ、のだ。


仰々しく御託を並べましたが、ようは食べ飽きただけかもしれません。で、いか天をチョイス。サクサクした歯ざわりが早くも思い出されます。


せっかくなので、財布にたまった小銭も一掃しようと玉子をトッピング。しめて 490 円、思惑通りに、心も、財布も、軽くなりましたヨ。


朝早いからか、天ぷらのラインナップはまだ揃っていないようす。天ぷらパットには、かき揚げ、エビ、竹輪などの一軍が並ぶのみである。


「いか、少々お待ちください」。店側もまさかこの時間帯にいか天とは奇襲だったのだろう。すなわち揚げたてがいただけるニンマリの待ち時間。


揚げたてのいか天、衣に染み入るツユ、白く煮えていく玉子。様式美のような丼ぶりの小宇宙にしばし見惚れたのち、まずはいか天をガブリ。


アッツイ。揚げたてなのでツユより熱い。普段は揚げおきの天ぷらをツユで温めて食べているわけだから、不意打ちの愉快ツーカイな熱さですね。


予想通りの淡麗ないか天を楽しむうちに、剥がれゆく衣もまたいとをかし。白身でツユが濁る前にチュルリと飲み込み、黄身は温めておく。


そば & ツユの安定感は長年連れそった夫婦のような、小津映画のワンシーンのような、絵もいわれぬおいしさです。さすがは老舗立ち食い店。


いか天の跡にはドロドロの衣が浮かぶ。たぬきそばの揚げ玉とは異なるゆるやかな食感が楽しい。半熟の黄身を破いてそばボナーラも嬉しい。


たまには、良いね、いか玉そば。下げ膳するときにチラリとパットを覗けば、春菊天、はぜ天が加わっているが、いか天はまだ準備中のようす。


いか天、お前、何番手なんだよ? 応援したいけど、本妻のたぬきがいるから、またそのうちな。などと勝手なことを思いつつ店を後にする。


ごちそうさまでした。