今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 237)若鶏竜田揚げ定食

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胃の調子がよくないので、揚げ物は昼間に限ります。で、久しぶりの若鶏の竜田揚げ定食。注文ののち、冷たい焙じ茶をすすりつつ、昔を想う。


そう、以前竜田揚げを食べたときも同じことを書いたんだけれど、竜田揚げを食べるとき、いつも大学のころのY先輩を思い出す。必ずだ、必ず。


パチンコで勝ったY先輩の奢りで深夜のファミレスへ。Y先輩は爽やかに「オレ、このリューデンアゲね」と告げ、タバコをおいしそうにふかす。


エスニック料理やイタリアンに、ありそうですよね、リューデンアゲ。しかし、見事に「タツタ揚げですね」と冷静な店員さんが切り返します。


バツが悪そうなY先輩、慌てて竜田揚げより安いメニューを探す私、ただ注文を待つ店員さん。そこには、安いながらも人間ドラマがありました。


「オレは数学受験だから漢字に弱いんだよね」〜そう笑うY先輩は、後日「浪速の暴れん坊」という花火を「ローソクの暴れん坊」と読んでいた。


そんな思い出の竜田揚げ。注文してから揚げられるアツアツの竜田揚げをハフハフと頬張り、噛みしめては肉汁を喜び、カリカリの皮を楽しむ。


そして、ご飯をかきこみ、揚げ玉の味噌汁をすすり、また、竜田揚げを頬張る。無限ループのような幸せの時間。脂に飽いたら、野菜をつつく。


誰に急かされるわけでもないのに、慌てて食べちゃうのが竜田揚げの魔力。最近、胃の調子がよくないから、よく噛まないといけないのにね。


これから一生、竜田揚げを食べるときに思い出すんだろうなY先輩。これは言霊というか、呪詛に近いかな、パブロフの犬状態とも言えようか。


恋人に花の名前を教えると、別れた後も年に一回あなたを思い出す、というのは川端康成の言葉。こちらは、そんな美しい話ではないけど(笑)


ごちそうさまでした。