小腹のすいたところで、立ち食いそばに通りかかり、渡りに船とばかりに暖簾をくぐる。天ぷらもいいけど、カレー風味のコロッケそばにしよう。
ところが、朝早いからか品切れ中。残念、無念。動揺を隠せないまま、咄嗟に第二希望を絞り出さねばならず、安定、安心のたぬきそばを注文。
麺を湯通しして、丼ぶりに移し、揚げ玉を盛り付ける。返す刀で、おたま一杯のつゆを注ぎ、カイワレを添える。一連の見事な所作に見惚れる。
前払いで会計を済ませて箸を割る。たぬきは、いわゆる天かすタイプ。さまざまな本地が透けて見えて微笑ましい。こいつは海老天の名残かな?
こちらのツユはオーソドックス。出汁寄りでもなく、返し寄りでもない。バランスのよい正調そばツユ。芳醇な香りにマイメロ、メロメロです。
まずは、そばをツルツル軽く咀嚼して嚥下する。短めのそばはふた噛みくらいでちょうどいい。カイワレはシャクシャク、七味いらずの辛味です。
天かすはツユを吸ってふわふわ、トロトロ。そばに絡めたり、丼ぶりを持ち上げツユとともに飲んでみたり、久しぶりのたぬきそばを堪能する。
そりゃあコロッケに未練はあるけれども、たぬきに罪なし。油でグロス仕上げになった唇をティッシュで拭いとり、グラスの水を一気に飲み干す。
ごちそうさまでした。