外食が多いからか「自家製」の言葉に弱い。個人店なら当たり前だろうけど、チェーン店でわざわざ「自家製」を名乗られると、当然気にかかる。
工場で下調理されたものを店で仕上げることで、味の均一化、コスト削減、素早い提供ができるわけで、セントラルキッチンは誠に合理的である。
しかし、完全な美しさよりも、少し歪んだものに心惹かれるように、金太郎飴のような同じ味ではなく、オンリーワンを求める気持ちもまた真実。
前置きが長くなりましたが、富士そば。チェーン店でありながら、メニューなどは店ごとの裁量が大きく、見かけるたびについチェックしちゃう。
他店でみられるラーメンがない代わりに、券売機の最上段に自家製唐揚げそば。チャンスは最大限にいかすのが私の主義なので、迷わず飛びつく。
食券を提出すれば「そば、茹でてますのでお待ちください」とのこと。タイミングがいいのか、悪いのか、やがてそばをしめる音がきこえてくる。
唐揚げは思ったより大ぶり。ガブリとかじればアチアチ。サクッとした衣を突きやぶって脂がはじけ、その脂がツユに旨みを加えるという好循環。
安定のおそばに、満点の鶏から。安くてうまいはやはり嬉しいですね。心なしか店内で流れる演歌すら、いつもより小節が回っている気がします。
わずかな柚子皮が、脂っこさを打ち消し、舌に残るはシアワセの記憶だけ。変化球ですがど真ん中を攻める、個性派オリジナルメニューでした。
ごちそうさまでした。
★しばらくは孤食のグルメ&お蔵出しです。