盛岡三大麺というと、じゃじゃ麺、わんこそば、冷麺である。1つの地方都市に毛色の違う名物麺が3つもあるのは貴重で、県民性が窺い知れる。
熱々の平打ち麺に肉味噌をからめるじゃじゃ麺、一口大のお椀に次々そばが盛られるわんこそば、弾力のある麺が冷たいスープにおよぐ冷麺。
THE ALFEE のように三者三様ユニークで、もちろんどれもおいしい。で、日高屋の季節メニューに冷麺をみつけて、嬉しくなって注文する。
盛岡ではじめて食べた冷麺は、焼き肉の締めでした。ゴムのように硬い麺、キムチの辛みがきいたスープ、違和感なく鎮座するスイカ=驚きの嵐。
カルチャーショックだったけど、ひと口で恋に落ち、それ以来焼き肉屋でつい頼んでしまいます。昼間っから食べられるなんて、ありがたい限り。
昼どきの日高屋は混んでいるけど、このご時世は会話もなく静か。待つ間メニューを見ていると、冷やし中華の具が別皿に盛られてるのが印象的。
さてさて、やってきました冷麺。まずはスープをゴクリ。スポーツの途中でも飲めそうなほど淡麗で冷たい。酸味と辛みのバランスが絶妙ですね。
麺は期待どおりべらぼうに硬く、奥歯で噛んでは喉越しを楽しむ。果物がないのは画竜点睛を欠くけど、日高屋に完コピを求めてはいけない。
朱に交われば赤くなる。たっぷりのキムチが徐々にスープを染め辛みが増すので、お酢を回しかけると酸味でちょうどよいまろやかさになります。
キュウリ、チャーシュー、煮卵もおいしいけど、屈強な麺は主役を譲らない。キムチを向こうに回してなお輝くその存在感は、勝新ばりですね。
それにしても、焼き肉を食べて、ビールを飲んだあとにこんなボリュームを食べるんだから、罪な話だな…はやく気軽にワイワイ焼き肉したいね。
ごちそうさまでした。