なろう、なろう、あすなろう、明日は檜になろう
藤子不二雄のまんが道で知った言葉で、希望に満ちた明日が浮かぶ。もっとも出典の井上靖「あすなろ物語」では檜になれない悲しき比喩だとか。
で、明日葉。どんな由来があるのか調べたところ「生命力旺盛で歯を摘んでも明日には芽が出る」からだとか。こちらのほうが希望に満ちている。
伊豆大島や八丈島が産地で、ある意味では東京名物なわけだ。葉っぱはどうみても単なる野草で、離島ゆえの食の苦労があったのかと古を偲ぶ。
さて、明日葉天そば。朝早いので揚げたてかな、などとウキウキして待つ。後客も明日葉天が続くと自分の選択が承認されたようで、少し嬉しい。
主役は天ぷらだけど、ワカメがたっぷりでそばがみえない。七味をパラリとかけ、天ぷらを箸持ち上げてガブリ。ほろ苦くて、滋養に満ちている。
ヒトに飼い慣らされたほうれん草や春菊とは違う野生味あふれる風味。朝から日本酒が欲しくなるような大人のたしなみ、噛むほどにおいしい。
ワカメと一緒にそばをたぐれば、あっさりツユに合う。七味を追加して、ふたたび明日葉。衣にツユがなじんできて、トロリとするのもいと旨し。
そばを食べ終え、ツユに浮かぶ明日葉もすべて平らげる。ゴクリと水を飲めば、喉も心も清冽になり明日の自分に期待しちゃう。まだ、朝だけど。
ごちそうさまでした。