近頃のパン屋さんは小洒落ている。サクサクでバターたっぷりのデニッシュ、幾重にも具が折り重なるサンドイッチ、写真映えするスイーツパン。
それはそれでありがたく、店内に広がるやさしい匂いとともに、ご馳走と思う。しかし昭和生まれとしては、昔ながらのパン屋さんも捨てがたい。
三角形のサンドイッチ、何でも挟むコッペパン、かわいい顔が描かれた甘い菓子パン。百花繚乱で思わずトングをカチカチ鳴らしたくなります。
とはいえ、お腹の具合を考えると食べられるのはせいぜい3つ。パン棚には少し空席も目立ちますが、映えなど気にせず食べたいものを順に買う。
まずは、アンパンマンのアンパン。ややこしい。以前に比べて顔立ちが凛々しくなったのは、パン工房が代替わりしたからかな。まずは鼻をもぐ。
フワフワで、やさしさの予感。ガブリといけば餡子が甘くて言うことなし。砂漠で彷徨うさなか、アンパンマンが来たら、渋いお茶も欲しいかな。
お次は玉子トースト。おそらくモデルはラピュタのアレです。宮崎映画の食事はどれもおいしそうですが、再現のしやすさも人気の理由でしょう。
かぶりつけばマヨネーズでできた堤の内側には、塩けのあるベーコン、塩コショウのきいた白身、濃厚な黄身が待っている。ズバリおいしい。
最後は真打ち、キングオブ惣菜パンの焼きそばパン、取り扱いのある店こそ古きよき街パン屋さんですね。川本真琴の歌を口ずさみつつ食べよう。
パンを邪魔しないフニャフニャの麺、たっぷりの青のり、色味ともにアクセントとなる紅生姜。全体にソース味だけど、心身ともに満たされます。
最後に牛乳たぷたぷのアイスコーヒーを飲めば、すっかり腹くちくなりました。昼下がりのテレビを眺めつつうたた寝する、至福の週末です。
ごちそうさまでした。