今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺を喰らう(その 565)いか天そば

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方言の分布は文化の伝播を反映している。京都から波紋のように広がったもの、フォッサマグナを境に東西分布したものなど、興味は尽きない。


そのほかに、魚群を追いかけた漁師たちによる、港ごとに飛び地の如く広がった風習がある。新潟あたりの日本海から宮城あたりへぐるっと半周。


それを俗にイカ文化といい「港町には同じような文化が生まれる」のではなく「港町ごとに文化を広げた民がいる」という考え方。なるほど。


ともあれ日本人に古くから親しまれたイカ。乱獲か国際競争か、漁獲量の低減と反比例して価格は上昇し、庶民の味方、いか天そばが心配になる。


注文して30秒足らず。セルフの水を汲んで。席に着く頃には呼び出し。時短極まりない提供は、一切の無駄のないベテラン店員の所作あってこそ。


黒いツユに湯通ししたそば、凛とした真一文字のいか天。様式美のような一杯、軽く七味をふる。スポーツ新聞を読みつつ、お気軽にすすりこむ。


熱々のツユがゆるふわのそばに喝を入れている。いか天はコキコキの歯応えで、噛むごとに甘い。

シンプルなぶんダシが改めておいしいとわかる。


ツユで煮えたネギは食べ頃、あっという間にそばも平らげ、ツユに浸しておいたいか天を名残惜しく食べる。庶民のイカ天文化、受け継ぎたいな。


ごちそうさまでした。


しばらくは孤食のグルメ&お蔵出しです。