今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 571)割子そば

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出雲といえば出雲大社神在月には八百万の神さまが集まるというように、伝統あり、歴史あり、かつては日本の中心の1つだった地域です。


島根県内の荒神谷遺跡から銅剣がわんさか出ていることからも、ヤマト王権成立前に、文化的にも有力な豪族がいたのは間違いないと言われます。


裏日本とも揶揄される日本海側ですが、かつては大陸への窓口であり、先進地域だったわけです。いわゆる環日本海文化圏と呼ばれるヤツですよ。


などと、長々と前口上を述べましたが、本日いただくのが出雲そば。岩手のわんこそば、長野の戸隠そばとともに日本三大そばと並び称されます。


無意識のうちに普段「そば」に先入観があり、蕎麦猪口にチョッとつけて、粋で鯔背に手繰るなんて、江戸っ子や落語の影響を受けてますね。


しかし、こちらの出雲そばは、小分けされた器=割子(わりご)の1枚目にツユを注ぎ、食べ終えるとそのツユを次に移し替えていくスタイル。


へぇと感心するけど、わんこそばの忙しなさを考えれば、さほど違和感もないかな。ともあれ田舎そばのような色の黒いそばが好みなんですよね。


まず1枚目は、何も入れずツユのみで。ダシのきいたさっぱり系のツユでグイグイいけます。2枚目はネギ、3枚目は紅葉おろしでツルリと。


そばの風味と喉越し、淡麗なツユの清涼感、青ネギと紅葉おろしという意外な薬味。やるな出雲そば、と感心しきりでもう一回食べたいくらい。


最後はそば湯をいただき大満足。それにしても、なぜ調布市出雲そば、なんだろうか。胃に血をとられ、いつもよりなお冴えない頭で考える。


調布に所縁のある水木しげる先生の出身地の関係だな、きっと。などと納得したのも束の間、念のため調べると水木先生は鳥取出身なのでした。


左ヒラメに右カレイ、左島根に右鳥取。もはや試験で試されることもないけど、両県ともに未踏の地だし、そのうち現地で食べたいものですね。


ごちそうさまでした。


しばらくは孤食のグルメ&お蔵出しです。