出雲といえば出雲大社。神在月には八百万の神さまが集まるというように、伝統あり、歴史あり、かつては日本の中心の1つだった地域です。
島根県内の荒神谷遺跡から銅剣がわんさか出ていることからも、ヤマト王権成立前に、文化的にも有力な豪族がいたのは間違いないと言われます。
裏日本とも揶揄される日本海側ですが、かつては大陸への窓口であり、先進地域だったわけです。いわゆる環日本海文化圏と呼ばれるヤツですよ。
などと、長々と前口上を述べましたが、本日いただくのが出雲そば。岩手のわんこそば、長野の戸隠そばとともに日本三大そばと並び称されます。
無意識のうちに普段「そば」に先入観があり、蕎麦猪口にチョッとつけて、粋で鯔背に手繰るなんて、江戸っ子や落語の影響を受けてますね。
しかし、こちらの出雲そばは、小分けされた器=割子(わりご)の1枚目にツユを注ぎ、食べ終えるとそのツユを次に移し替えていくスタイル。
へぇと感心するけど、わんこそばの忙しなさを考えれば、さほど違和感もないかな。ともあれ田舎そばのような色の黒いそばが好みなんですよね。
まず1枚目は、何も入れずツユのみで。ダシのきいたさっぱり系のツユでグイグイいけます。2枚目はネギ、3枚目は紅葉おろしでツルリと。
そばの風味と喉越し、淡麗なツユの清涼感、青ネギと紅葉おろしという意外な薬味。やるな出雲そば、と感心しきりでもう一回食べたいくらい。
最後はそば湯をいただき大満足。それにしても、なぜ調布市で出雲そば、なんだろうか。胃に血をとられ、いつもよりなお冴えない頭で考える。
調布に所縁のある水木しげる先生の出身地の関係だな、きっと。などと納得したのも束の間、念のため調べると水木先生は鳥取出身なのでした。
左ヒラメに右カレイ、左島根に右鳥取。もはや試験で試されることもないけど、両県ともに未踏の地だし、そのうち現地で食べたいものですね。
ごちそうさまでした。
★しばらくは孤食のグルメ&お蔵出しです。