今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 346)牛肉どまん中

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駅弁はおいしい。味もさることながら、旅情という空気感を満喫するのがうれしい。一人でも、友だちとでも、家族とでも、楽しさを味わえる。


東海林さだお先生も「駅弁の丸かじり」にて触れているけど、買って早々電車が動く前に食べるなどはご法度なのです。新撰組なら切腹ものです。


新幹線で東京を出たならば、新横浜を出た頃に紐解くのがよい。他のお客の着席も落ち着いているし、熱海あたりの海を眺めながら食べられる。


しかしこのご時世、旅行はもちろん車内飲食も憚られる。できないとしたくなるのが人情。そんななか近所のスーパーの駅弁フェアがありがたい。


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ますのすしと悩んだすえ、牛肉どまん中を選ぶ。米沢名物ですね。山形県に行ったことはあるけど貧乏旅行で何を食べたか思い出がまったくない。


駅弁を開けるドキドキ感は、格別ですね。「初めて電話するときにはいつも震える」とはプリプリの歌詞ですが、そんな恋する乙女のような心境。


おお期待どおり一面の肉。レンジでの温め方もついていますが、常温でこその駅弁でしょう。箸を割り、将棋でいうところの9九香車から食べる。


甘辛くたかれた米沢牛は、冷めておいしく計算されており、脂身の甘さが白眉です。細切れ肉とそぼろのコントラストがブラボー、素晴らしい。


パセリは彩りだけでなく、ほろ苦さが小憎らしいくらい。付け合わせもいい箸休めで、ただただ食に貪欲な日本人に生まれた喜びに打ち震える。


ノンアルビールが進む味わい。これで家の窓の景色が動けば完璧だなぁ。コロナ禍が終わった暁には、まだ見ぬ日本の名所へ行きたくなりますね。


ごちそうさまでした。


しばらくは孤食のグルメ&お蔵出しです。