ズボンではなくパンツ、スパッツではなくレギンス、ジャンパーではなくブルゾン。言葉は生き物だから、しなやかに対応していくしかない。
一方、スパゲティではなくパスタ。これは言い換えではなく、正しくは数多いパスタの1つがスパゲティなのだ。マカロニもラザニアも、パスタ。
あとは長さや細さで細分されるらしく、ソーメンと冷麦とうどんに似た亜分類。まあ、昭和生まれならイタリアの麺は全部スパゲティですけどね。
昭和のスパゲティといえば、ミートソース、ナポリタンが二大巨頭。ペペロンチーノだの、カルボナーラだのはイタ飯ブーム以降の新参者です。
そんな本格派パスタにおされ影が薄いミートソースをいただく。ミートくんは、昭和レトロでチヤホヤされるナポリタンに比べても、不遇を託つ。
わざわざ自家製と名乗るということは、世間で業務用が出回っている証左でもある。家ではマ・マーの缶を使うことも多いし、自家製は楽しみだ。
茹で時間もランチタイムのうち。コーヒーを舐めつつ、待てば海路の日和あり。登場したミートソースはケチャップではなくトマトベースですね。
フォークでミートソースの上澄みをパクリ。挽き肉がキシキシと歯ごたえよく、トマトのやわらかな酸味とオリーブオイルが相性バッチリです。
油断すると真っすぐに戻りたがる、弾力のあるスパゲティは、まさにボーノ。少しずつ、クルクル巻いて食べてゆく。麺食いは洋の東西を問わず。
ここで粉パルメザンチーズをザブザブ振る。鼻腔をくすぐるチーズの香りにいい年してメロメロ。チーズが溶けた頃合いに、追加でハラハラ振る。
さらに味変でハバネロソースを振る。すると途端に硬質な味を剥き出しにする。思えば、昭和の家庭にはタバスコなんてなかったなぁとしみじみ。
すっかり食べ終え、残るミートソースをバゲットに乗せ、オリーブオイルを吸わせて完食。残ったコーヒーをゆっくり飲んで、お腹をさする。
ごちそうさまでした。
★しばらくは孤食のグルメ&お蔵出しです。