イモは基本的に生で食べない。サラダで少々生食することはあっても、ジャガイモもサツマイモも加熱されてこそ、ホクホク感の本領発揮である。
一方でとろろ。ヤマイモ、自然薯など原料はともあれ、独特の粘りと野趣あふれる風味、ツルンとした喉越しなど、生食できるイモの代表である。
季節は秋めいてきたけど、本日はあえて冷やしとろろそば。自らの意思というより、野生の勘、本能的な衝動に近い。すべて体の決めたままに。
とろろは精がつくなんていうけど、とくに使い途もない。とはいえ、天高く馬肥ゆる秋だし、長い冬に向けて栄養をつけるに越したことはない。
おお、海苔たっぷりで嬉しい。まずはそばをチョコっとツユにつけてすすり込む。温かいそばは味がぼやけるけど、冷たいとやはり凛としてるね。
お次はとろろをたっぷり絡めてズゾゾ。唇から喉越しまで心地よいぬるぬるが通過する。とろろにとって牛タン&麦ごはんと伍する晴れ舞台だな。
ネギを入れ、ワサビを溶かし、七味を振りかけ、徐々に味変を楽しむ。江戸っ子じゃないので、躊躇なくツユにどっぷりつけて、手繰り続ける。
食べ終えるころにはすっかり水位が低くなったけど、熱々のそば湯を貰って、ヂルヂルすする。少し冷えたオナカを温めて、秋の日差しの下へと。
ごちそうさまでした。
★しばらくは孤食のグルメ&お蔵出しです。