「半チャンラーメン」の元祖は、神保町にある「さぶちゃん」という。惜しまれつつ閉店しましたが、その影響は、今なお大きい。
と書き始めたものの「ちょっと何言ってるかわからない」という人が多いかもしれないと気づく。ならば男塾の雷電ばりに解説しよう。
そもそも「半チャンラーメン」とは、ラーメンと半量ほどのチャーハンがセットになっており、いわゆるガッツリ系のメニューです。
神保町は東京都千代田区の、いわゆる学生街であり、オフィス街です。当然、ボリューム満点でお得なメニューが好まれる地域です。
で、神保町のラーメン店が客のリクエストに応えて定番化したのが、半チャンラーメン。さまざまな街中華に広がりをみせた発明です。
なるほど、反芻してみれば、東京に勤めるラーメン好きなオジサンしかわからない書き出しでしたね。さて、改めて券売機の前に立つ。
ラーメンでは物足りない。でも、半チャンラーメンは量的に受けつけない。そこで、半チャン、半ラーメンの、中年向けセットを選ぶ。
頑張れば、それなりに食べられるけど、午後の仕事に響くし、胃食道逆流もちなので自重しました。ブログをみれば、去年の9月以来。
まずは、右手にチャーハンの匙、左手にラーメンのレンゲを持つ。中高と続けたバスケで得たものは、食事の両利きと膝痛くらいです。
チャーハン山のなだらかな斜面を崩して、ひと口パクリ。胡椒きつめだけど、卵とチャーシューのみのシンプルさは、味が際立ちます。
いくらか味わったのち、レンゲでスープをゴクリ。味噌汁とは一線を画す、ラードのきいた味は、米のひと粒ずつにヴェールをかける。
「おいしい」の感情だけで思考停止する。口内調味しつつ、もうひと口チャーハンを食べれば、広がる旨み、禁断の塩味がたまらん。
ここで水をひと口飲んで、舌をリセット。いよいよラーメンをすする。サッポロ風の味噌ラーメンは、どこか甘く、冬がよく似合う。
ヒラヒラと波打つ太麺をはじめ、挽き肉、もやし、玉ねぎなど。まるでチャーハンと具沢山のスープを食べているような錯覚に陥る。
チャーハンをたっぷりと、リスのように頬張って、そこにスープをゴクリ。ひたすらに咀嚼すると、シアワセのメーターが振り切れる。
いい歳して安っすいシアワセですが、気にしません。食べてみれば、少し物足りない量だけど、だが、それがいい。お腹パンパンです。
さぶちゃんといえば、紅白で見なくなって久しいな、などと年末らしいことを思いつつ、胃の隙間に水を流し込んで、塩っ気を薄める。
ごちそうさまでした。