「おいすた〜」「げりすた〜」。のっけからお下品ですが、桜玉吉先生の名作、ファミ通連載の「しあわせのかたち」に出てくるト書です。
日記漫画の大家といえる玉吉先生の真骨頂が、しあわせのかたち。バブルの空気が色濃く残る平成初期、いい大人が真剣に遊ぶ姿が印象的。
出版社からのお歳暮でもらった生牡蠣セットにあたった玉吉先生。田舎の中学生だった自分は「牡蠣ってあたるんだ」と刷り込まれました。
でも、今では当時の玉吉先生よりはるかに年上となり、冬場は牡蠣が恋しいのです。で、牡蠣づくしフェアでみつけた牡蠣御膳をいただく。
選べるメインはいずれも牡蠣を冠に戴き、マーボ豆腐、豆鼓炒め、チリソース炒めの3種類。悩みどころですが、辛味を求めてチリを選ぶ。
これに半チャーハン、エビ焼売、スープと漬け物つきは実に豪華。少しお高いけど、奮発しちゃう。たまの贅沢、バチはあたるまい。
やってきたのは、トイレからはみ出さんばかりの威風堂々たる品々。主役の牡蠣チリソースには大粒なカキが山脈のように連なってます。
何はなくとも、牡蠣をパクリと。薄衣で包まれており、ぽってり辛いチリソースと、牡蠣の甘みが拮抗しておいしさを盛り上げます。
ズバリ紹興酒が似合う味ですね。ランチタイムになんてものを!と恨みつつも、おいしく食べてゆく。まあ、チャーハンにも合いますが。
半チャーハンも、一人前ありそうなボリューム。ネギ、たまご、チャーシューのシンプルな具材、薄味かつパラパラで、単品でもおいしい。
牡蠣のおいしさに耽溺しては、辛み逃しにスープを飲み、大根の漬け物をかじる。一粒種の焼売は、辛子醤油をたっぷりまぶしていただく。
お値段以上のボリュームなので、オジサンのお腹はみるみるふくれる。それでも、おいしいは正義、絶えることなく箸を動かして完食です。
しみじみ、しあわせ。玉吉先生は、しあわせのかたちを見失った波瀾万丈の人生だけど、ファンとしては、牡蠣を食べては思い出すのです。
ごちそうさまでした。