今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

麺喰らう(その 719)にしんそば


鰊。にしん。ニシン。あまり馴染みはないけど、春告魚ともいわれ、かつては北海道でわんさか獲れたらしい。ゴールデンカムイにもそんな話があったな。


産卵期には、押し寄せたオスの精子で海が白くなる「群来(くき)」という現象がみられるとか。地元では新鮮なとこを刺身や塩焼きでおいしく食べるらしい。


ちょっと離れた地方だと、保存食である身欠きにしんの印象が強い。カツオブシみたいな形で、甘く煮つけていただく。金沢だと糠漬けのこんかにしんもある。


あとは京都名物にしんそば。盆地だから鯖やにしんなど保存食をうまく取り扱いますね。さて、久しぶりのにしんそば、ブログをみれば他店だけど1年半ぶり。


https://socius-lover.hatenablog.com/entry/2020/12/19/070900


漫画「それでも町は廻っている」ではミシンそばと勘違いした思い出話が出てきますね。甘くて、フワッとした香り。楽しみで、ツバが出てきました。


やってきたにしんそば。にしんは主役なのにいぶし銀の輝きを放つ。箸を入れるとホコッと身離れよく、食べればキュムキュムした歯ごたえが楽しい。


絶妙に甘く炊けていて、旨みが溶け出したツユがやさしい味となる。細くて繊細なそばは、にしんの重みに沈んでいる。そおっと持ち上げて、スルスルすする。


菜っ葉をつまみ、七味をひと振り。にしんをつまんでは、そばをいただく。夜ならばぬる燗が似合う、贅沢な味わい。お仕舞いに、ツユをごくりとふた口。


ごちそうさまでした。