季節が都会ではわからないだろう、と故郷の母親から小包が届く。そんな北島三郎の世界感も今は昔。わが国は、四季というより亜熱帯の様相を呈している。
さて、冷やし中華が夏を告げるように、やよい軒でも夏の風物詩、冷汁定食が始まっている。チェーン店ならではの安定したローテーションに感謝感激です。
宮崎というと、新宿南口のアンテナショップが思い出されます。主な産業は「どけんかせんといかん」だったのが、しっかり宮崎文化は東京に根づいています。
さて冷汁定食。食券を買うときも「冷汁お待たせしました〜」、席を探していても「冷汁一丁〜」と声が響きます。近頃の熱気も相まってすごい人気ですね。
冷汁=冷えた味噌汁をぶっかけたごはん。というとお行儀ワルですが、暑い地方からうまれた生活の知恵には、無駄はありません。山形のダシとかね。
さて、冷汁ばかり注目していましたが、わが定食にはとり南蛮も鎮座しています。こちらも宮崎名物のチキン南蛮ですから、期待は高まるばかりです。
箸を割り、味噌汁がないので冷汁で箸を湿らせ、まずはとり南蛮を。東村アキコによると、県民でもムネ肉派とモモ肉派が骨肉の争いをするとか、しないとか。
ガブリとかじれば、サクサクの衣が心地よく、酸っぱい南蛮だれにたっぷりのタルタルがからんで、オカズヂカラが半端なく、ごはん泥棒の名がふさわしい。
とり南蛮だけでごはんを完食できますが、アトに冷汁が控えているので、贅沢にもとり南蛮だけをじっくり味わう。咀嚼しつつ付属のサバをほぐしておく。
やよい軒はごはんおかわり自由なんだけど、本能の赴くままに食べると満腹すぎて午後は仕事にならない。ここはごはん茶碗1杯で食事を組み立てるのが正解。
とり南蛮をペロリと平らげ、キャベツでお口直しののち、いよいよ冷汁の出番。待ちくたびれましたよ、とは海南の神の台詞ですが、いよいよ真打ち登場です。
冷汁の器にごはんを入れ,軽く攪拌したのちにサバのほぐし味を散らす。食欲をそそるビジュアルではないですが、食べれば確実な幸せが約束されている。
まずはレンゲで汁をスルスル。九州らしい豆みその風味がたまらない。本場ではミョウガや大葉を薬味にするらしいけど、定食ならこれで必要十分です。
きゅうりのハリハリ、豆腐の喉越しなど楽しいけど、ざっくりいえば、ねこまんま。サバはおいしいし、ごはんをタピオカのように吸いこんじゃえますね。
固形物をすべて食べ終えてなお、なみなみと冷汁は残る。ごはんをおかわりしたいところだけど、1055キロカロリーという表示に怯えて、ここであきらめる。
ごちそうさまでした。