新そばが出始める季節、老舗やニューウェーブ系の店では、それはもう香り高いそばが待ち受けている。そば猪口に先っぽを少しつけて、ズズズっとたぐる。
そばの高潔な旨み、ツユの凛とした深み、そして鼻腔をくすぐる香り。そりゃあ、おいしい。食べずとも思い出す秋の風物詩。はるかな尾瀬くらい思い出す。
一方の立ち食い界隈だって、季節メニューを出したり、冬は春菊が立派になったり、四季は立派に感じられる。そんな食欲の秋に、肉玉そばを食べる。
こちら豊しまは、チェーンというほど店舗は多くないけど、暖簾分けかな。分厚い肉そばが一部で有名ですが、お値段もはるので、ハレの日のメニューです。
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そんなわけで、本日はお値打ちな肉玉なぞ。注文するや否や素早く湯通しされるそば。都度茹でなんて甘っちょろいことをいわない姿勢は、むしろ好ましい。
更科だの、二八だの、細かいこたぁいいんだよのザ・立ち食いそば。これはこれで大好物。ゴワっとしたそばをすすりこむと、肉の味がツユに滲み出てます。
ここで白身をツルリと飲み込み、そばをさらにすする。関西人がみたら目を疑うほどの漆黒のツユは、当然のように塩っぱく、みるみる体温が上がる。
薄切りの豚肉をかじれば、脂が甘く、ごはんが欲しくなる味わい。たぬきはサクサクと食感よく、店の活気も相まって、立って食べながら食欲が加速する。
そばの3分の1ほどを残したところで、ツユで軽く熱の入った黄身を割る。トロ〜リ麺をからめれば、そばボナーラ。ひたすらおいしい食事は元気の源です。
ごちそうさまでした。