立冬を過ぎると、いよいよ食卓も冬支度となる。果物でいえば柿や梨から、ミカンやリンゴへと入れ替わるし、秋刀魚ことサンマともお別れの季節となる。
先日立ち寄ったやよい軒では、すでにサンマの塩焼きは売り切れだった。カキフライは冬の間も楽しめるけど、サンマは見かけなくなるので、特に名残惜しい。
で、店先の黒板にサンマ塩焼の文字を見つけ、席に着くやサンマを注文。グリルでこんがり焼くのだから、じっくり待とう。待つ時間もランチのうちです。
やってきたのは胴がふっくらしたサンマちゃん。最近は不漁とか、身が細いとかいろいろ聞くけど、これだけ立派なら文句なし、焦げ目の美しさにニンマリ。
まず、上半分の身をむしってパクリ。アツアツで、脂ものって、ほんのり塩がきいて言うことなし。皮もパリパリで香ばしく、オカズヂカラに満ちてます。
当然にごはんがすすむ。サンマ、ごはん、サンマ、ごはんとテンポよく食べてゆく。徐々に尾のほうへ食べてゆけば、よく動くからか身が締まってくる。
お次は下半分。たっぷりのワタもおいしくいただく。この苦味はごはんよりもぬる燗だけど、ランチタイムにそんな不埒な妄想は禁物。味噌汁で口を洗う。
表の半身を食べ終え、骨の裏手を少しずつこそげ取って食べてゆく。骨っぽい魚を自ら好んで食べるようになるなんて、二十代までは考えられなかった。
年をとると、嗜好がはっきり変わる。良し悪しではなくて、カラダの要請なんだよね、きっと。今シーズン最後のサンマ、我ながらキレイに食べ切りました。
ごちそうさまでした。