二つ名というものに憧れる。獅子心王リチャード1世とか、独眼竜政宗とか、単なるあだ名よりも格上で、いかにも大物感あふれるのがイカす。
卑近な例でいえば、ガンダムの二つ名は色にちなむものが多い。連邦の白い悪魔、赤い彗星、青い巨星、黒い三連星など。すべてわかる方は、同年代ですね。
で、赤いきつね。言わずもがな、きつねうどんです。マルちゃんのシリーズにも、緑のたぬき、白い力もちうどん、黒い豚カレーうどんなど色にちなむものが多い。
赤いから3倍早いということもなく、3分間待って蓋をあける。ドーンと大きなお揚げさんが威容を放ち、ダシの香りが鼻腔を満たす。これぞ安心、安定の一杯です。
まずはお揚げをひとかじり、長方形のひと角にキレイな歯形をつける。お揚げは、ついさっきまで乾燥していたのがウソのように、ダシがしみて甘い。
残るお揚げは、食事の後半のお楽しみ。カップの底にもぐらせて、一気呵成にうどんをすすり込む。いかにもインスタントといったクタクタの麺がうまいっ。
丸い玉子は彩りだけでなく、ふわふわと食感のアクセント。ズルズル食べてゆくとお揚げ再び。引き揚げて、ダシをチュウっと吸って、また、ダシに漬け込む。
プラスチックの器に口をあてるより、お揚げ経由で味わったほうが、ダシがおいしい気がする。間違いなく勘違いだけど、騙すより騙されたいんだよ、僕ァ。
塩分を気にするお年頃だけど、久しぶりの赤いきつねならば話は別です。ズルズルと麺を食べ終え、ハフハフとお揚げをやっつけ、ゴクゴクとダシを飲み干す。
ごちそうさまでした。