正直、長ネギに好感をもっていない。昭和のエグ味の強かったころの印象が強く、イガイガした食感も好きではなかった。アレルギーだったのかもしれない。
まあ、私もそれなりに年を重ねたし、食べ物の好き嫌いより、旬の食材を楽しむことを優先する。品種や肥料が改良されたのか、最近の野菜は全体に甘いしね。
で、肉ネギうどん。肉南蛮ではなく、肉ネギを名乗るからには、長ネギ沢山だと思われる。あえてネギを頼む日がくるなんて、あの頃の自分に耳打ちしたい。
やってきたのは、たっぷりの豚肉と削ぎ切りの長ネギが、おしくらまんじゅうのようにひしめき合うひと品。南蛮うどんには、牛肉よりも豚肉が合いますね。
まずは、肉とうどんを持ち上げて、ハフハフとすする。赤身中心だけど、おいしいダシと食べると、豚しゃぶのような趣き。ツルツルのうどんが似合います。
ネギを口に放り込めば、キュムキュムと新鮮な歯ごたえです。よく噛めば甘く、いわゆるネギ臭さはかすか。ただ、うどんより遥かに咀嚼回数が必要です。
それぞれのネギを分解し輪切り状にして、ダシに沈めてみる。こうすれば、ネギに熱が入りやすくなり、味もしみるし、食感も均一になることでしょう。
うどんツルツル、ネギザクザク。ひたすら食べていると、気がつけばワカメと肉ばかりが残る。肉吸いのようだと思いつつ、最後の一片までおいしくいただく。
ごちそうさまでした。