
英語でRのつかない月にカキを食べるな。そう信じてきた。5〜8月のカキは身が細るし、当たりやすいらしい。ところがこれは流通が悪い時代の、真ガキの話だとか。
なんでも岩ガキは夏が旬らしく、まさに今が食べごろ。桜玉吉先生も「しあわせのかたち」で、千葉の漁港で岩ガキを堪能していたっけ。なるほど、チャンスなのだ。
金沢の台所、近江町市場に足を踏み入れると、ひといきれでむせかえっている。見れば店先には、カニ、エビとともに岩ガキが並んでいる。能登あたりの特産物らしい。
両親は金沢生まれだけど、昭和の頃はコールドチェーンが未発達で生ガキなんて食べたことがないだろう。わが家でカキというとカチカチに揚げて縮んだフライだった。
ビールと飲める店を探して列に並ぶ。ラッキーなことに1分も待たずに呼び出しがかかる。サイズ別の岩ガキは1000〜2500円の選択肢。中くらいの1700円を選ぶ。
私史上最大の生ガキはよくできたデザートのように、表面張力でプルプルしている。レモンかポン酢でどうぞ、とあるけどまずは何もつけずにガブリ、潮が飛び出す。
急いでビールを飲めば海の活力が血液にみなぎる。おいしいを通り越して感動すら覚える味わい、贅沢してよかった。レモン汁をかけると、カキの旨みが引き立ちます。
たまらず、現金を取り出して、1000円のカキも追加注文。こちらは、ポン酢でいただこう。口いっぱいに磯の香りが広がる喜び、悪いことを覚えたような恍惚の刹那。
まだ太陽は高いのに、ビールを飲むのは背徳感に拍車をかける。まあ、ご先祖さまに会いにきたのだし、年イチの北陸行きなんだから、お天道様も許してくれるだろう。
ふと見れば後客は大行列。運が良いときに並んだようです。エビやマグロにも惹かれたけど、腹具合とも相談して打ち止めにする。玉吉先生も、食べ過ぎてお腹をこわしていたし。
ごちそうさまでした🍺















