今日も 来て しまった

おいしく食べて、温かい布団で眠る。しあわせのかたちを考える日々の記録

定食春秋(その 369)生たまご朝定食・小 in なか卯

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バブル経済がはじけたのち、清貧の思想がブームとなった。1990年代初頭、大学生の頃、アルバイト情報誌がみるみる薄くなったのを覚えている。


バブル期は、イタ飯のごとく浮わついた飽食の時代だった。その一方で「セイシュンの食卓」など貧乏メシも現れ、日本の食の転換期でもあった。


貧乏というと感じが悪いけど、清貧という言葉の響きは美しい。今でいえばミニマリストのような「好きでやってます」という主義の発露である。


で、なか卯の生たまご朝定食。白米、生たまご、味噌汁、海苔、以上。清貧を行き過ぎてシンプル。民宿の朝食だって、干物くらいついてくる。


まずは生たまごを粗くかき混ぜ、しょう油をひと回ししてさらに攪拌する。丼ぶり飯に、カルデラのような凹地を成形して、たまごを注ぎ入れる。


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マグマが火砕流のようにこぼれたのはご愛嬌。輝くご飯を頬ばれば、黄身のコク、白身の食感、しょう油の香りのジェットストリームアタック


白米とともに咀嚼すれば、甘みが鼻に抜ける。紅生姜を添えれば、爽やかな酸味がたまりません。出汁のきいた味噌汁で流し込む、幸せな嚥下。


味噌汁のほうれん草もコキコキとおいしい。なか卯の味噌汁はもっと評価されて然るべきです。ここいらで海苔巻きご飯で磯の香りを満喫する。


バブルの恩恵を受けた世代ではなく、ブラウン管の向こう側のディスコの喧騒だけは覚えている。その反動で清貧があるなら、それも悪くないな。


丼ぶりからひと粒残さず白米を食べ、冷たい緑茶でさっぱり。シンプルな食事は、身が引き締まりますね。今日は(も?)1日頑張れそうです。


ごちそうさまでした。