脂:動物由来、常温で固体。油:植物由来、常温で液体。例として牛脂とごま油がわかりやすい。ココナッツ油とか魚油とか例外はあるけどね。
で、老舗ラーメン店の背油ラーメン。背脂でなく背油なのが趣き深い。スープのパンチ力に期待して、ライス&キムチのランチセットをつける。
過日の安住紳一郎の日曜天国で動物学者・遠藤秀紀先生から「動物の背中の脂と言えば?」との質問があり、真っ先に豚の背脂が浮かびました。
正解はラクダ、そういえば、コブは脂肪の固まりだったな、などと思い出しつつ到着を待つ。帰るお客が皆ごちそうさま!と言うのが心地よい。
北海道に流れ着く流氷のごとく、背油が丼ぶりの表面を白く覆う。レンゲで飲めば、舌は大喜びですが、脳が「コレ大丈夫っすか?」と心配する。
なんと言っても、トゥルトゥルの背脂が舌を惑わせる。麺をすすればすべからくまとわりつき、叉焼を食べても、玉子を食べても、例外はない。
ライスを食べて背油ごと麺をすすり、軽く咀嚼してゴクリ。口直しにキムチを食べてライスに戻る無限ループ、メビウスの輪から抜けられません。
ひとの幸せには分野があるけど、オジサンの昼餉としては最高クラスの幸福。最近はよく歩いているし、たまに自らご褒美をもらってもよかろう。
ライスをレンゲに乗せ、スープを少し入れて、おじや風にして食べてみると、脳内麻薬が出まくります。幸せすぎて怖いってこういうことですか。
惜しむらくはノドがかわく。綺麗な薔薇にはトゲがあり、おいしいラーメンには塩分がある。二律背反、いいとこどりなんて、そうそうできない。
おいしく、楽しく、うれしい食事もそろそろ幕切れ。麺を最後まで丹念に拾い上げて、最後に未練のレンゲでひと口ゴクリ。口を拭って席を立つ。
ごちそうさまでした。
★しばらくは、孤食のグルメ&お蔵出しです。